日本には国民の三大義務の一つとして納税の義務があります。
専業でやっている人は、年に48万円を超える利益(所得)がある場合。副業の人ならば、年に20万円を超える利益(所得)がある場合に確定申告をする必要があります。
利益が48万円以下(副業なら20万円以下)であれば、所得税の確定申告をする必要はありません(しても良いけど)。
けれど、利益が48万・20万の規定に達しない場合でも、何かしらの利益を得ている人は「帳簿を付ける義務」があります。これは2014年から義務化されました。
これは、国税局のページにも明確に書かれています。
白色申告の方の記帳・帳簿等の保存制度
対象となる方
事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき業務を行う全ての方です。
もちろん、「確定申告が必要額に達している人」が確定申告をするために、帳簿を記入するのは当然です。
しかし、「確定申告が必要額に達していない人」も、「自分には確定申告が必要なだけの利益がない」ということを証明するために、帳簿を記入する必要があるのはあまり知られていないと思います。
僕も、明確に記帳義務を実感したのは、「赤字の同人作家さんの体験談」を読んでからです。
まずは、「何故赤字でも記帳する必要があるのか?」について、その同人作家さんの体験を例に説明したいと思います。
目次
赤字同人作家さんが脱税とされ追徴課税された体験談
僕は、記帳義務の重要性を考えるようになったのは、以下の同人作家さんの体験談を読んだからです。
話の要点だけを箇条書きにすると以下のようになります。
- とある売れている同人作家さんが確定申告をしてないと言っていた
- 売れている作家への嫉妬から地方税回収機構に「あいつ確定申告してないっすよ」と密告
- 密告中に「あなたも確定申告が必要なんじゃないですか?」と機構に言われる
- 「自分は赤字だから…」といっても「それを証明するために帳簿を見せろ」と言われる
- 帳簿がないので赤字を証明できるものがない
- 同人誌発売にかかった経費を主張しても、それを証明するための領収書もない
- 帳簿もない領収書もないということで経費のほとんどが認められない
- 帳簿がないので幾ら売上があったかもわからない
- 売上がわからないので税務署に言われるまま「推定の売上額」を申告させられる
- もちろん前年分だけではなく過去3年分さかのぼって申告させられる
- 地方税回収機構に徹底的に調べ上げられ、さらなる税金の追加申告が必要といわれる
- 税務署に追加分を修正申告する(悪く言えば言われるままの額を申告させられる)
- 結局すべての税金を合わせて100万近くを支払う羽目になる
この体験談は、非常に教訓に富んだ内容になっていると思います。
もちろん、「他人に嫉妬して密告なんてするから…」なんて事も言えるかと思います。
けれども、税金的に言って最も大切なことは、以下の一点に尽きると思います。
- 売上や経費を証明するための証拠を残しておく
これをやっていないばかりに、「同人誌販売的には赤字」であったとしても、証拠がないため脱税とされ、3年分の収入をまとめて約100万円も税金を支払う羽目になっています。
これは、同人誌販売にかかわらず、「何かしら本業や副業で利益を得ている人」すべてに関わってくることだと思います(藪を突つくから蛇が出てくるんだというのはさておき)。
実際、「自分の行っている事業はトータルしたら赤字なんだから確定申告は必要ないだろう」と思っている人がほとんどではないでしょうか。そして、証拠となるものも残してない人が多数おられると思います。
さて、こうなってくると
もし自分が同様のケースになったら、どうすればよいだろうか?
と思われると思います。と同時に
赤字なのに帳簿をつけるなんて面倒くさい…
と思われる方も多いかと思います。
ただ、そうであったとしても同様の税務調査が入った時に対抗できる手段は取っておかないと、冒頭の同人作家さんの二の舞になってもおかしくありません。
僕としては、もし同様のケースとなっても「きちんと収支の証明ができる証拠を残す」というためにも、最低限2つの作業をやっておくべきと思います。
売上や経費を証明するためにやっておくこと
もし、あなたの事業(経済活動)を行っていて、何かしらの収入を得ている場合、僕は最低限以下の2つのことはやっておくべきと考えます。
- 支払の証明となる領収書(レシート)は必ず残しておく
- 無料の会計ソフトで自動で取引情報を取得しておく
例え「赤字の事業」であったとしても、上記は必須と考えます。
実際やってみると、そこまで難しい事でもないです。
けどこれをやっておかないと、いざ回収機構との対決となった時、「自分の身を守るための防具が何もない」という状態に陥ります。
裸で百戦錬磨の税務官(or 地方税回収機構)に対抗しようにも、とてもじゃないけど勝てるはずがありません。
ですので、必要最低限の防具(証拠)だけでも揃えておく必要があります。
以下ではその手段について、詳しく説明します。
支払の証明となる領収書(レシート)は必ず残しておく
「冒頭の同人作家さん」が赤字だったのに、多額の税金を支払う羽目になったのは、やはり「経費の証拠となる書類(証拠証憑)を何1つ残していなかったこと」が大きいです。
最低限「経費の証明となる書類」さえ残していれば、もしかしたら赤字を証明出来たかもしれません。たとえ領収書だけで赤字は証明出来なかったとしても、もっと納税額を減らすことは出来たでしょう。
ですので、同人誌販売を行っているならば、たとえ赤字だとしても、同人誌を発行するのに必要になった経費となる領収書は保存しておくべきだと思います。
同人誌販売であれば、以下のようなものが経費となるかもしれません。
- 作成に使用した文房具・画材
- 同人誌を作成するための資料・書籍代
- 会場に行くまでの交通費
- 宿泊した場合はホテル代
- 登録スペース参加費
- 同人誌の印刷代
- スタジオ代
- 同業者との飲食代や交際費
- 機材(全部は無理だけど按分できる可能性も)
- 家賃(按分できる可能性)
- インターネット代(按分できる可能性)
- 光熱費・水道費(按分できる可能性)
もちろん、同人誌販売でなく通常の事業(副業)を行っている人も、経費となりそうなものの領収書(レシート)は必ず残しておきましょう。
僕の場合は、以下のような書類ケースの中に1年分の領収書(レシート)をすべて放り込んで保存し、確定申告時期に整理しています。
とにかく「これは経費にならないかもなぁ」というものでも、「少しでも事業に関係あれば領収書は残しておく」という習慣をつけておいた方が良いです。
経費にならない領収書だった場合は、計上しなければいいだけなので。
売上の記録も残しておく
同人販売の場合は、手売りなので、ちゃんと記録を残しておかないと、後で忘れてしまうなんてことがあると思います。
メモ帳でも、スマホでも良いので、売上があった日は、売上金額の記録だけは残しておくことをおすすめします。日付と金額は必ず記録してください。できれば売上の簡単な説明も。
その記録を残しておくことで、それを元に後から帳簿を書くことができます。
無料の会計ソフトで自動で取引情報を取得しておく
あと「冒頭の同人作家さんの体験談」においても、帳簿の大切さは感じられると思います。
ただ、単純に「帳簿をつける」と言っても、これまで帳簿とは縁遠い生活を送ってきた人にとっては、何をしてよいかわからないと思います。
通常、赤字の事業であれば、簡易帳簿(簡単につけられる帳簿の記載方法)でもOKです。
けれど、簡易帳簿といっても、国税庁のページにある記載方法の説明を読んでも、正直やり方のイメージがわきません。
なので、簡易帳簿としても、素人がやるにしてはハードルが高いです(僕も実際確定申告初年度には意味が分かりませんでした)。
なので、僕としては、「帳簿の元となる取引情報だけでも残しておこう」と提案したいです。取引情報の記録さえ残っていれば、後からでも帳簿を付けることはできます。
とはいっても
取引情報を残すといってもどうすりゃいいのよ?
と思われるかもしれません。
僕はその方法として、「無料の会計ソフトを使用して自動で取引情報をクラウドに残しておく」というのが一番簡単な方法だと思います。
以下では、その具体的な方法について説明したいと思います。
無料の会計ソフトで取引情報を残す方法
会計ソフトを使って、無料で取引情報を残すには、MFクラウド確定申告という会計ソフトを利用します。
世の中に、会計ソフトは多々ありますが、「無料で使えて取引情報を自動取得できるのはMFクラウド確定申告だけ」となっています。今のところ。
無料でやるなら、他に選択肢となるようなソフトは僕の知る限り無いです。
無料登録を行う
とりあえずは、MFクラウド確定申告から「無料ではじめる」ボタンを押して無料登録を行います
銀行・クレジットカード・通販サイトの取引情報を自動取得させる
MFクラウド確定申告に登録したら、メニューの「データ連携」から「新規登録」を選択します。
銀行の登録
そして、検索ボックスに「利用中の銀行名」を入力して、MFクラウドと連携させます。
僕の場合を例にすると、「住信SBIネット銀行」だとこんな感じ。
「新生銀行」だとこんな感じ。
もちろん、ネット口座があるのなら、地方銀行なら、そのほとんどが登録できます。
「売上が銀行に振り込まれる事業」の場合は、これで売上記録を自動保存出来ることになります。
このように登録するだけでこれで、銀行での入出金状況を会計ソフトが記録してくれるので、「銀行入出金の証明となる取引情報」を残すことができます。
クレジットカードの登録
そして、物を購入するときには、クレジットカードを利用する場合もあります。
購入の証拠を残すために「クレジットカード取引情報」もソフトに自動取得させておきましょう。
僕の場合は、必要機材の購入に使うAmazonカードとか。
楽天カードを登録しておきました。
ですので、なるべく「経費になりそうなもの」を購入する際は、クレジットカードでするのがおすすめです。店舗などでも、クレジットカードで支払えば「購入の証拠」となる取引情報が残ります。
これで、「何か物品・機材などを購入した証明となる取引情報」を残すことができます。
通販サイトを登録
あと、Amazonや、楽天などから仕事道具や、消耗品等を購入する方も多いと思うので、通販サイトも登録しておきます。
僕の場合は、Amazonと楽天からしか購入しないので、2つ追加しているだけです。
Amazonの登録。
楽天の登録。
クレジットカード情報を取得している時点で、購入分の取引記録は残るのですが、「通販サイト」をMFクラウドに登録することによって、「個別商品の購入記録」が残ります。
ですので、通販サイトの取引記録を残しておいた方が、後からソフトで帳簿を付ける必要が出てきたときに判別が容易になります。
このように設定することで「通販サイトから経費対象物を購入した証明となる取引情報」を残すことができます。
登録したら後は放置しておくだけでOK
このように、各種金融機関、クレジットカード、通販サイトを登録したら、あとは自動でソフトが取引情報を取得してくれます。しかも無料で。
実際、登録さえしてしまえば、必要な記録は会計ソフトがすべてやっておいてくれます。
取得した取引情報は、すべて以下のように記録されていきます。
「赤字の事業」をやっている方であれば、最低限「取引の自動取得」さえやっておけば「冒頭の赤字の同人作家さん」のような大惨事は免れるかと思います。
後から帳簿の提出を求められた時に「帳簿を付けるための正確な取引情報」があるので、前日にちょっと頑張れば帳簿を作成してしまうことができます。
MFクラウドでの記帳方法はこちら。
MFクラウドなら、年に50件までなら無料で仕訳も可能です。必要とあらば同人誌売上の記録も手入力できます。
もちろん、赤字以外の事業でも、しっかり確定申告できます(むしろこちらがメイン)。
事業(同人活動)が軌道に乗ったら、節税のために青色申告をするのにも良いでしょう。
このように、「赤字の人から、開業して青色申告をする人」まで幅広く利用できる会計ソフトです。
僕は結局3年間、無料で利用させていただきました。
ほんと、無料で使わせてもらった上に確定申告まで楽にしてもらって、このMFクラウド確定申告には感謝しかないです。
まとめ
ということで、大事なことなのでもう一度書くと「赤字の同人作家さんでもやっておきたいこと」は、以下になります。
- 支払の証明となる領収書(レシート)は必ず残しておく
- 無料の会計ソフトで自動で取引情報を取得しておく
同人誌即売会などで、売上が自動取得できない場合は、「売上を上げた日付と金額のメモを残すこと」も忘れてはいけません。
地方税回収機構に目をつけられると、「ケツの毛の数まで調べられる」と例えられているのをよく目にします。ですので、目を付けられてしまったら、上記の対策だけでは、完璧に対応することはできないかもしれません。
けれど、「冒頭の同人作家さん」のような大炎上(完全燃焼)は防ぐことはできます。うまくいけば、ボヤ程度に抑えられる可能性も高いです。
とりあえず、最低限上記2つのことを行っておけば、「赤字なのに税務署の言い値の税金を支払う羽目になる」なんて事は無いと思います。
自動で取引を記録出来るMFクラウドの無料登録はこちら。
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