僕は、毎年e-Taxで確定申告を行っています。
一般的な確定申告は2月中旬からですが、e-Taxは新年明けから確定申告を受け付けています(詳しくはe-Taxの利用可能時間を参照)。
僕はこういった面倒事は早く済ませたい性分なので、毎年1月中に以下の手順で個人の確定申告を行っています。
で、今年も確定申告の受付が始まったので、
昨年はどんな感じだったかな?
と去年の申告を振り返るために「確定申告書」を眺めていました。
すると、なんということでしょう。「社会保険料控除」に記載漏れがあるのに今更ながらに気づいてしまいました…。
目次
控除などを申告し忘れていた場合
普通に仕事をしていれば、社会保険料は結構な額になります。
その「社会保険料の控除」を申告していなければ、数万円~数十万円もの大金を余計に納税していたことになってしまいます(※人にもよります)。
なんてこったい…
コレが、「1、2万円多く税金を支払っていた」とかならば、労力を考えればスルーしても良いのかもしれません。
けれど僕の場合、十万円単位の税金を余計に支払っていたので、流石に見過ごすことはできませんでした。
所轄の税務署に問い合わせ
とりあえず何をしたら良いかわからなかったので、所轄の税務署に電話で問い合わせてみました。
〇〇年分の確定申告で、社会保険料控除の記入をせずに確定申告をしてしまいました。
こういった場合、何をすればよいのでしょうか?
すると、窓口の方が以下のようなことを教えてくれました。
税金を多く支払っていた場合は「所得税の更正請求手続き」を行ってください。
とのこと。
「所得税の更正請求手続き」とはこちら。
[概要]
確定申告期限後に申告書に書いた税額等に誤りがあったことを発見した場合や確定申告をしなかったために決定を受けた場合などで、申告等をした税額等が実際より多かったときに正しい額に訂正することを求める場合の手続です。
「更正請求手続き」を出す場合の対象者は、以下のような方になります。
[手続対象者]
計算誤り等により税額が過大であったり、純損失等の金額が過少であったり、あるいは還付金が少なかった方
完全に、僕はこの対象のようです。
最後に税務署の職員の方は以下のように教えてくださいました。
法定申告期限から5年を超えると時効となるので、5年以内に提出してください。
詳しい記述はこちら。
[提出時期]
国税に関する法律の規定に従っていなかった場合又はその計算に誤りがあった場合は、法定申告期限から5年以内に提出してください。
※ 確定申告の必要のない方が確定申告の必要があるとした場合の法定申告期限後に、還付を受けるための申告をしている場合はその提出した日から5年以内です。
とりあえず、僕の場合は昨年の申告なので、時効まではまだまだあります。
ただし、こういったものは、早く申告するのに越した事はないので、早速「更正請求手続き」を行なうことにしました。
所得税の更正請求手続きに必要な書類
「更正請求手続き(正確には、所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続)」に必要な書類は以下からダウンロードできます。
手続きに必要な書類はこちら。
わかる人ならこれ一枚だけ書いて提出するだけっぽいんだけど。
うん、正直どのように書いていいかわからん。
と思ったら、2ページ目にちゃんと「書き方」もついていました。
うんうん、なおさらわからん。
とりあえず、何を書いたら良いのか分からないことがわかったので、
何か分かりやすく入力できるものはないんか…
と調べてみたら、e-Taxページに、「更正請求書の作成ツール」があるということで使ってみることに。
e-Taxの更正請求書の作成ツール
ツールを利用するには、まずe-Taxページに移動します。
「申告・申請」項目から「個人で電子申告をするには」ボタンを選択します。
「確定申告書を作成する」ボタンを選択します。
ここで「作成開始」ボタンを押したくなるところですが、そこではなく「提出した申告書に誤りがあった場合」項目の「新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」リンクを選択します。
以下の画面が「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」となります。
更正の請求書・修正申告書の作成
以下では「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」を利用した書類の作成方法を説明します。
提出方法の選択
まずは以下の中から、税務署への提出方法を選択します。
- e-Taxで提出(マイナンバーカード方式):マイナンバーが必要
- e-Taxで提出(ID・パスワード方式):事前登録が必要
- 印刷して提出:税務署に持ち込み・郵送する場合
①の「マイナンバーカード方式」の場合は、以下のような事前準備が必要になります。
②の「ID・パスワード方式」に関しても、事前に税務署への届け出が必要になります。
なので上記選択肢の中で「e-Taxの事前準備」が不要な方法は、③の「印刷して提出」しかありません。
ですので以下では、「印刷して提出」を利用して「所得税の更正請求書」を作成する方法を紹介します。
動作環境チェック
「印刷して提出」ツールの動作環境はこちら。
Windowsの場合
Microsoft系ブラウザー以外に、FirefoxやChromeにも対応しています。
Macintoshの場合
Macの場合、ブラウザーはSafariにしか対応していないようです。
動作環境に問題なければ、「利用規約に同意して次へ」ボタンを選択してください。
作成する更正の請求書・修正申告書を選択
「更正請求書」を作成する「年」を選択し「所得税の更正の請求書・修正申告書」の「作成開始」ボタンを選択してください。
データの読み込み
すると以下のような画面が出てきます。
この「e-Taxの確定申告書作成ツール」で作成した「確定申告データ(.data形式)」を持っている場合は、①を。
もっていない場合は②を選択してください。
大抵の方は.data形式のデータを持っていないと思うので、以下では②の「新規作成」を基準に説明していきます。
生年月日等入力
まずは「青色申告かどうか」と「生年月日」を入力して「次へ」ボタンを押します。
更正の請求・修正申告前の課税額の入力
次に、該当年の確定申告書類を元に入力されている項目を全て記入します。この部分は、修正前のデータを入力します。
大事な部分なので、もう一度書きますが、上記入力は「該当年に間違って申告した値」をそのまま当時の確定申告書を見ながら入力します。
後で「正しい値を入力する項目」も出てくるので、それと照らし合わせて「納税額(還付額)」を計算するためにも、間違って確定申告した値も必要になります。
入力を終えたら「次へ」ボタンを押してください。
追加訂正等項目の選択
修正申告する部分の項目を選択して「次へ」ボタンを押してください。
僕は今回修正申告するのは、「社会保険料控除」だけだったので、それにチェックを付けました。
更正の請求・修正申告額の入力
以下で、修正申告額を入力します。
ここで重要なのは「更正の請求・修正申告後の金額」も「(参考)更正の請求・修正申告前の金額」両辺の値が埋まるように再度額を入力することです。
二度手間でちょっと面倒なのですが、同じ値だったとしても、もう一度値を入力する必要があります。
これは、先程入力した「修正前の申告値」と、今回入力した「修正後の申告値」を突き合わせて計算することで、税金の申告額の違いを計算するためです。
一つ一つ見ていきます。
【収入金額や所得金額】(総合課税)
「入力確認」に「入力済み」と出るようにしっかりと値を入力します。
【所得から差し引かれる金額】(所得控除)
僕は今回「社会保険料控除」の申告のし忘れだったので、左右で値が違います。
上記の記入例の場合、98万8000円の「社会保険料」を申告し忘れていたことになります。
【税金の計算】(税額控除)
この項目では、申請後の税金額が計算されて出力されます。
例えば、上の表だと、元々還付されていた金額が「5,700円」で、更正請求後の金額が「328,400円」となっています。
つまり、差し引き「322,700円」多く税金を支払っていたことになります。
そして、更正請求が満額認められれば「322,700円」が、「税金を支払いすぎていた」ということで還付されます。
【その他】
その他は、青色申告の場合に入力します。
「青色専従者給与額」や「青色申告特別控除額」を入力します。
請求額・申告額を計算
全ての入力を終えたら「請求額・申告額を計算する」ボタンを押してください。
更正請求内容・修正申告内容の確認
入力の確認画面が表示されるので問題なければ「次へ」ボタンを押してください。
更正の請求をする理由等の入力
次に今回「更正請求」をする理由を入力します。どの入力項目も【任意】なので必ずしも入力する必要はありません。
ただ僕は「更正の請求をする理由、請求をするに至った事情の詳細等」部分にだけ以下のように入力しました。
社会保険料控除の記入漏れがあり、所得税を過大に支払っていたため
理由については人によると思うので、それぞれ入力してください。
申告書等の作成
次の画面では、「還付額」が表示され、「振り込み金融機関」や「住所氏名等」を入力します。
還付金額
還付金額が以下のように表示されます。
受取方法の選択
受け取りを行う「銀行情報」もしくは、「ゆうちょ情報」を入力します。
住所・氏名等の入力
納税地情報を入力します。
税務署情報も入力します。
名前や世帯主などを入力します。
入力を終えたら「次へ」ボタンを押してください。
マイナンバー情報の入力
マイナンバーの半角12桁の数字を入力します。
申告書等の印刷
最後に、税務署に提出する申告書等の印刷を行います。
印刷する帳票の選択
基本的に提出に必要なのは「更正の請求書 【 提出用 】」のみになります。添付書類がある場合は「添付書類台紙」もあった方が良いかもしれません。
選択したら「帳票表示・印刷」ボタンを押してください。
すると「h30kosei_syotoku.pdf」といったようなPDFファイルがダウンロードされるので、これをプリンターで印刷します(更正請求する年代によってファイル名は違います)。
印刷が終わったら「次へ」ボタンを押してください。
データの保存
すると、以下のような画面が出るので、データは必ず保存しておきましょう。
税務署に提出
あとは税務署に提出する前の準備です。
書類に押印する
税務署に提出する前に、以下の部分に押印をしておきます。
添付書類の提出準備
添付書類の準備を行います。
必要なものはこちら。
- 本人確認書類(マイナンバーカードや免許証の写しなど)
- 修正の根拠となる書類
今回僕の場合は「修正の根拠となる書類」は、公的機関から届いた社会保険料の納付連絡書類を提出しました。
税務署に提出
最後に、税務署に提出を行います。
今回の「印刷で提出」を選択した場合は、以下の提出方法があります。
- 税務署の受付に持参
- 税務署の時間外収受箱へ投函
- 郵便又は信書便で送付(送料は各人の負担)
僕の場合、はじめての更正請求手続きだったので、税務署員にチェックしていただきたかったので、直接税務署に持参してチェックしてもらいました。
チェックの結果は、特に問題や不備の指摘も受けることなく、受領してもらいました。
まとめ
今回、上記のような方法で「払いすぎていた税金を還付してもらう手続き」を行いました。
自分で「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」の書き方を調べて書き込むのは、非常に難しいです。
けれど、e-Taxの「作成コーナー」の「新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」を利用することで、指示通りに入力すれば、比較的簡単に書類を作成する事ができました。
それでも、面倒くさいのには変わりがないんですけど。ちょっとは、ましになります。
とりあえず、これでおそらく払いすぎていた税金は、返ってくるかと。
ということで、更正の請求が出来る期間は法定申告期限から原則として5年なので、もし過去に払いすぎた税金があるのであれば、今回の方法で還付請求することが出来るかと思います。
必ずしも請求通りになるとは限りません
ただ、「更正請求書」を出したとしても、必ずしも認められるとは限りません。
そして、申告額が満額還付されるとも限りません。全ては税務署の審査を受けて、問題なければ払い過ぎていた分だけ還付されます。
e-Taxの記載はこちら。
更正の請求書について
税務署では、提出等された更正の請求に係る税額等について調査し、請求が適正であるか等を審査します。その後、内容を通知し、税金の還付がある場合には、還付等手続を行います。なお、調査等の結果、請求額と通知額とが異なる場合があります。
還付額が振り込まれる時期
還付時期は、基本的に申告日から3ヶ月経過後。もしくは、更正の処理日から1ヶ月経過した後とのことです。ただし、請求した時期によって還付時期はずれる可能性があります。
ちなみに、僕は2020年1月9日に書類を提出したのですが、審査時期は確定申告開始時期(2020年2月17日)以降になると言われました。
とりあえず、「更正請求書」を提出したら、1ヶ月~数ヶ月はかかると考えておけば良いかと思います。
「更正請求書」の受付自体は、年中受け付けています。
更『正』の請求です>_<