3月15日で今年の確定申告は、終了しました。
次の確定申告は翌年の2月中旬になります。
「次回、確定申告が必要な収入になるかもしれない」なんて人や「次回はもっと節税したい」なんて個人事業主(もしくは副業)の方もおられるかと思います。
これは、何でも言えることなんですが、確定申告においても事前準備が大事です。「事前準備を制すものが確定申告を制す」とまでは言いませんが、準備次第で「確定申告の面倒さ」は大きく変わってくると思います。
ということで以下では、「確定申告を楽にするために、やっておきたい事前準備」についてまとめてみたいと思います。
目次
やっておきたい事前準備
とりあえず、個人事業主・副業を行っている方が、やっておきたい事前準備をまとめると以下のようになります。
- 領収書やレシートは必ず保管しておく
- 医療費・社会保険料(控除対象)の領収書を大事に保管しておく
- 帳簿記入のため会計ソフトに取引情報を取得させておく
- 青色申告をする場合は開業届等を出しておく
僕としては、これだけ最低限はやっておきたいところだと思います。
領収書やレシートは必ず保管しておく
2014年1月から全ての確定申告において、記帳が義務化されました(それまでは300万円までは不要だった)。
それとともに、帳簿書類(領収書・レシート)も5~7年の保存義務が出てきました。
では何故、領収書の保存が必要なのかというと、領収書は証憑(しょうひょう)書類といって、「金銭の受け渡しの証明となる書類」だからです。
もしあなたが、仕事机を5万円で購入したとし、それを経費にしたい場合は、「仕事机を購入した裏付けとなる書類」が証拠として必要になってきます。その役割を果たすのが領収書(レシート)です。
こういった領収書は、確定申告時に必要になるわけではありません。提出も求められません。
しかし確定申告に何か不手際等があったとき、税務署から帳簿書類の提出を求められることは稀にあります。もしそんな時に、「購入の証拠となる領収書」がないと経費としては認められません。実際にあなたが本当に購入していたとしてもです。
証拠がない場合は、「本当に購入しているのに、さらに追加で税金を払う羽目になる」なんてことも十分起こり得ます。
ですので、いざ税務署から調査を受けても、しっかりと対応できるよう「購入の裏付けとなる領収書(レシート)」の保存は重要です。
実際、同人誌を販売している方のケースで、証拠となる帳簿と領収書がないばかりに、本来は払う必要のない税金をたんまり取られたというケースもあります。
恐ろしい…。これを読んだら帳簿もしくは、領収書の重要さが分かるかと思います。
対応策はこちら。
医療費・社会保険料(控除対象)の領収書を大事に保管
もしあなたが、病気や怪我などで医療費が大きくかかっていたり、国民健康保険料を払っている場合は、税金額をその分、差し引いて(控除して)もらうことができます。
もし、控除申請をしないでいると、「本来払う必要のなかった税金を支払ってしまった」なんてことが起こります。。
日本の税金は基本的に、最初に取っておいて「控除分のを返してほしければ、しっかり申告してね」という方式になっています。これは、税金の取りっぱぐれを防ぐために、このような制度になっています(建前上は違うと思いますが)。
なので、控除について知らないと、必要以上の税金を払う羽目になります。もしあなたに、控除対象があっても、調べて申告しない限りは還付されません。役人側から「あなたはこんな控除の対象になるので申告してくださいね」なんて親切に教えてくれる人なんていません。
すべては基本的に自分で調べる必要があります。
そしてもちろん、「医療費や社会保険料を支払ったという証拠」となる領収書がないと控除(税金の割引みたいなもの)も認められません。
そういった意味でも、控除関係書類の保存も重要です。通常の領収書とは違い、こういった控除対象となる領収書は、確定申告時に提出が求められるので大事に保存しておきましょう。「これは大事な書類っぽい」と思ったら必ず保存しておく習慣を付けておくとよいでしょう。
控除対象となるケース
ちなみに、控除対象には、以下のようなものがあるので、関連書類は必ず保存しましょう。
- 雑損控除:災害や盗難、横領によって損害を受けた場合、災害に関する支出
- 医療費控除:生計をともにする配偶者や家族(親族)が支払った医療費が一定の金額以上ある場合
- 社会保険料控除:生計をともにする配偶者や家族(親族)が支払った社会保険料(健康保険料、国民健康保険料(税)、後期高齢者医療保険料、介護保険料、労働保険料、国民年金保険料、国民年金基金の掛金、厚生年金保険料 等)
- 小規模企業共済等掛金控除:小規模企業共済・確定拠出年金・個人型年金・心身障害者扶養共済制度による掛け金
- 生命保険料控除:生命保険・介護医療保険・個人年金保険について支払った保険料
- 地震保険料控除:損害保険契約で支払った地震等損害部分の保険料
- 寄附金控除:国・ふるさと納税・社会福祉法人・特定の政治献金・公益社団(財団)法人・認定NPO法人他への寄付金による支出
- 寡婦・寡夫控除:あなたが寡婦か寡夫である場合の控除
- 勤労学生、障害者控除:あなたが勤労学生(学校に通いながら働く学生)もしくは、あなたや控除対象配偶者、扶養親族が、障害者や特別障害者である場合の控除
- 配偶者控除・配偶者特別控除:配偶者がいる場合の控除。詳しくはリンクを参照
- 扶養控除:控除対象扶養家族がいる場合
上記の控除に関する説明は、簡略化して書いているので「自分に当てはまりそうだな」という項目がある場合は、必ずリンク先から国税庁の説明を参照してください。
国税庁と聞いただけで、難しそうな印象はありますが、書いてある説明をしっかりと読めば、十分理解できる内容になっています。
帳簿記入のため会計ソフトに取引情報を取得させておく
先程の同人誌販売者のケースでは、帳簿がなかったばかりに、大した儲けがなくて支払う必要がないのに結構な税金を徴収されていました。
この方を教訓として分かることは、何かを売っていて例え儲けがなくとも「自分に確定申告をするほどの儲けはないということを証明する必要がある」ということです。そしてそのためには、「帳簿への記帳(&領収書等の帳簿書類の保存)は重要」であるということです。
ただ、これまで帳簿などをつけたことがない人は、「帳簿なんてどうやってつけたらいいんだ?」なんて人がほとんどでしょう。僕もそうでした。
なので、記帳まではしなくとも「帳簿をつけるための元となる取引情報」だけでも残っていれば、後からでも帳簿をつけることは可能です。
そのために「確定申告(もしくは申告不要と証明する)のために”帳簿付け素材”となる取引情報だけでも残しておく」ということが重要です。
無料会計ソフトを活用しよう
そんな取引情報を、各種金融機関やクレジットカード、ショッピングサイトなどから自動取得してくれるのがクラウド会計ソフトです。
会計ソフトにもいろいろありますが、中で唯一取引の取得だけなら完全無料で行えるのが「MFクラウド確定申告」です。
とりあえず「確定申告が必要か?必要でないか?」がわからない場合でも、「MFクラウド確定申告」で取引情報さえ残しておけば、帳簿をつけるための情報は残ります(もちろん領収書も必要)。
それでもし「収入が多いので確定申告が必要」となれば、ソフトを利用して仕訳作業を行い確定申告を行えば良いだけです。
また、あまり取引の少ない零細個人事業主であれば、使い方次第で無料で確定申告も行うことも可能です。
僕は、この方法で「MFクラウド確定申告」を3年間無料で使い倒し、現在は有料版を支払って利用できる零細個人事業主となることができました。
もちろん、普通に確定申告をする場合にも、非常に使いやすいソフトであることは言うまでもありません。
僕はMFクラウドのおかげで、「初めての確定申告」で無事白色申告を行うことができました。
そして、開業して個人事業主となった今でも、青色申告で利用させてもらっています。
使い方がよくわからない場合は、ガイドブックも出ているので、ガイド片手にマウスをポチポチ入力していくこともできます。
とりあえず、「無料で手軽に取引を自動取得できる会計ソフト」と言ったら、「MFクラウド確定申告」くらいしかないので、僕は選択の余地なくこれを使い始めました。そして、その選択は間違いではなかったと今も思っています。
サイト MFクラウド確定申告
青色申告をする場合は開業届等を出しておく
白色申告をするだけなら、上記項目までの準備を行っておけば良いですが、青色申告をする場合は、事前に税務署に届を出す必要があります。
まずは税務署に「開業をしたい」と報告するために、「開業届」を提出する必要があります。
そして次に、「次から確定申告は青色申告をしたい」という旨を示すために、「所得税の青色申告承認申請手続」も提出する必要があります。
書類の提出方法は以下のようになります。
あと、家族に給料を支払いたい場合は、「青色事業専従者給与に関する届出書」も必要になるので提出する必要があります。
青色申告をすると
青色申告をすると、いくつかの特典があります。
青色申告をする人の中でも、多くの人は「65万円の青色申告特別控除」目当てなのではないでしょうか。僕もそうです。
青色申告特別控除を受けると、何が良いかを簡単に言うと「支払う税金をかなり額節約できる」ということです。
例えば、個人事業主のかんたん税金計算シミュレーションを利用して「仮に所得が300万円あったケース」でシミュレートしてみると「白色申告」と「青色申告」では、単純計算で18万9000円も支払う税額(&保険料)が変わってきます。
わりかし有効な節約術を行ったとしても、年間19万円弱の節約を行うのは難しいと思います。
しかし、確定申告を青色申告にすると、多少の手間は増えるものの、その節約効果はかなりの額になります
基本的に、MFクラウドやfreee
のようなクラウド会計ソフトさえ利用していれば青色申告と白色申告の確定申告書類作成の面倒くささはほとんど変わりません(今はどちらも記帳義務があるので面倒くささはさほど変わらない)。
ですので、ほとんど同じ手間なら、「青色申告控除で税金の節約」は「やらない手はない、というかやらなければもったいない」とすら僕は思います。
まとめ
本当、これは大事なことなのでもう一度言うと、事前準備をするのとしないのとでは、「確定申告の楽さ」は段違いに変わってきます。
例えるならば、「日々コツコツと勉強している人」と「テスト前になったら大慌てで勉強する人」だったら、前者の方が「実際のテストで良い成績を残す確率が格段に高い」のと同じことです。
あの野球で大成功しているイチローですら、「毎日毎日試合のための準備」を怠ることはありません。
もちろん、僕などはプロではないし、確定申告は試合でもないので、イチローのようなストイックな事前準備は必要ありません。けれど、対・確定申告と見たときに、今回紹介した必要最低限の前準備ぐらいはしておいても、損をすることはないと思います。
というか、後から「準備をしておいた自分よ!よくやった!」と褒めたくなると思います。