僕は去年まで白色申告でしたが今年から青色申告になります。
そのために先日、「青色申告の届出書」と「開業届」を所轄の税務署に提出してきました。
青色申告には、主に以下のような特典があります。
- 青色申告特別控除(65万円)が受けられる
- 家族に支払った給料を経費にできる
- 貸し倒れ金を経費にできる
- 事業の損失を3年間繰り越しできる
僕が青色申告にした目的は、ほぼ「65万円の控除を受けたい」ということと「手伝ってもらっている家族に給料を払って経費としたい」ということでした。
青色申告特別控除に関しては、会計ソフトを使って複式簿記で帳簿をつけて書類を提出すれば行えます。これは実際に定期的に会計ソフトを使って帳簿をつけています。
で、家族に給与を支払うのは、「青色申告の届出書」を提出すれば、できるものと思ってそのまま放置していました。
目次
家族への給与を経費とするには届出書の提出が必要
ただ先日、税務署主催で「新しく開業した人のための確定申告案内会」的なものがあったので出席してきました。
その時もらったパンフレットに以下のような記載が。
かいつまんで端的に書くと以下のような内容です。
青色事業専従者(家族など)の給料を経費にするためには、適用を受ける年の3月15日までに支払い限度額等を「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載して、税務署に提出する必要がある。
ていうか、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要なのは全く知りませんでした。加えて、届出書は、経費算出の適用を受ける年の3月15日までに提出する必要があるというじゃないですか。これに気づいた時は、もう既に6月でした。
3月15日以降でも届出書は受け付けてもらえる
「えー!これじゃー家族への給与を経費計上できないじゃん!」ということで、税務署に「3月15日までに『青色事業専従者給与に関する届出書』を出してなかったんですが…」と問い合わせをしてみました。
すると、「3月15日までに提出していなくても、すぐに提出していただければ2ヶ月さかのぼった時点から給料として経費計上できますよ」とのこと。
つまり、すぐに提出すれば、今は6月なので、2ヶ月さかのぼって4月~12月の9ヶ月間の給料は経費計上できるということです。
3月15日までに提出していれば、1月~12月までの家族への給料を全額経費にできたのですが、僕は届出書の存在を知らなくて出さなかったために、9ヶ月になってしまいました。
ただ、9ヶ月でも経費とできるのなら、非常にありがたいので、早速届出書を提出することにしました。
青色事業専従者給与に関する届出書の入手
届出書を提出するためには、まずは入手をしなくてはなりません。
届出書の入手方法はいくつかあります。
- 税務署で入手
- 国税庁からダウンロードして入手
税務署で入手
届出書は、お近くの税務署などで入手することができます。
管轄税務署は、国税庁サイトで手軽に調べることができます。
まず国税庁のページから「税務署を検索」と書かれた項目を探します。
郵便番号を検索することで管轄税務署を検索することができます。
住所で検索してもOKです。
すると所轄税務署が表示されますので、リンクをクリックすると詳細情報が表示されます。
国税庁からダウンロードして入手
あとは、以下の国税庁のページからダウンロードして入手することもできます。
わざわざ出向くのも面倒なので、僕の場合は、国税庁からダウンロードしてプリントアウトすることにしました。
青色事業専従者給与に関する届出書とは
正式名称「青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書」とは、青色事業専従者として配偶者や家族に支払った給与を必要経費に算入したい場合に税務署に提出する届出書です。
また、青色事業専従者の変更や、給与の変更を行った時にも変更届として提出する必要があります。
僕は今回、初めて届出書を提出するので、単に家族への給料を経費とするための届け出になります。
実際の届出書はこんな感じです。僕のような実家で事業をしている者が必要な入力箇所はハイライト部分のみです。
届出書を見ると、複雑な書類に見えるかもしれませんが、自宅で個人で行っている場合は、ちょこっと入力するだけでOKのようです。
届出書の書き方
以下では、それぞれの場所ごとに、書き方を説明したいと思います。
届出書のタイトル部分
まずは「青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書」と書かれている「届出」部分に丸をつけます。
管轄税務署と提出日
管轄税務署と、届出書を提出する日にちを記入します。
管轄税務署名は、以下などで手軽に調べることができます。
提出日は、届け出書を提出する日、もしくは郵送する日を記入します。
納税地など
納税地では、まず以下の3つの中から丸をつけます。
- 住所地:自宅で事業を行っている場合
- 居所地:住所地以外で長年住んでいて、そこで事業をしている場合
- 事業所等:自宅以外で事業の拠点となる事業所がある場合
そして、それぞれ丸をつけた住所と電話番号を記入します。
住所は、会社・事業所がある住所、店舗がある住所でもOKです。
納税地に書いた以外に、住所地、事業所がある場合は、「上記以外の住所地・事業所等」にも記入します。
氏名と生年月日
「氏名」部分に名前を書いて「フリガナ」部分にカタカナで名前を書きます。あと、「印」と書かれた部分に印鑑を押します。
「生年月日」は、年号に丸をつけて、日時を記入します。
個人番号(マイナンバー)
個人番号部分には、12桁のマイナンバーを記入します。
個人番号カード、もしくはマイナンバー通知カードに書かれているナンバーを記入してください。
職業と屋号
職業と屋号を記入します。
屋号は、会社なら会社名、お店なら店舗名などを入力します。屋号がない場合は、空欄でOKです。
青色事業専従者給与を支払い始める年月
給与を支払い始める年月を記入します。
なお、初めて届出書を提出する場合は「定めた」に丸をつけます。
青色事業専従者給与
- 専従者の氏名:家族(青色事業専従者)の名前を書きます。
- 続柄:個人事業主本人(給与を支払う者)から見た、青色事業専従者(給与を受け取る者)の関係を書きます。
- 年齢:家族の年齢を書きます。
- 経験年数:初めて仕事を手伝ってもらった年であれば「1年」と記載します。現在の仕事に従事している期間に加えて同種の仕事に従事した期間も合わせます。
- 専従者の個人番号:家族(青色事業専従者)のマイナンバーを書きます。
- 仕事の内容・従事の程度:家族が行っている仕事の内容をできる限り多く書きます。また、その仕事の職責を「経理責任者」「事務責任者」のように書きます。従事の程度は、「平日に毎日○○時間ほど従事」のように書きます。
- 資格等:家族が保持している業務に関する資格を書きます。例えば、経理の場合は簿記といったように。
- 給料の支給期:「毎月25日」のように具体的に書きます。
- 給料の金額(月額):月額の給料書きます。こちらの金額は、支給する見込みの上限金額を書きます。ここに書いた金額より多くの給料を払う場合は、「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を提出する必要があるからです。なので、実際に支給する金額よりも余裕をもって多めに書いておくことをおすすめします。
- 賞与の支給期:賞与、ボーナスを支給する時期を記入します。「毎年6月」「毎年12月」のように具体的に書きます。
- 賞与の支給基準(金額):「〇ヶ月分」とか「〇〇万円」のように具体的に書きます。こちらも給料と同様に、上限金額を書きます。ここに書いた賞与金額より多く払う場合は「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を提出する必要があります。ですので、こちらも実際に支給する金額よりも余裕をもって多めに設定しておくことをおすすめします。
- 昇給の基準:昇給の基準は「使用人の昇給基準と同じ」などと書いておくと良いそうです。
その他
その他の項目は、特に入力する必要はありません。
担当の税理士などがいる場合は「関与税理士」部分を記入します。
- その他参考事項(他の職業の併有等):その他に、青色事業専従者が他の職業持っている場合や、学生の場合に記入します。
- 変更理由:「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を提出する時のみに利用します。
- 使用人の給与:専従者以外に使用人がいる場合は記入します。
- 関与税理士:届出書を提出する段階で顧問税理士がいる場合は記入します。
- 税務署処理欄:税務署が処理のために利用する部分なので空欄にしておきます。
記入例
全て入力した記入例は、以下のようになります。
届出書の提出
作成した届出書を提出するには、以下の方法があります。
- 所轄の税務署に持参する
- 所轄の税務署に郵送する
書いた内容に、不安がある場合は、直接税務署に持っていってチェックしてもらうのも良いかと思います。
内容に問題なければ、所轄の税務署に郵送すればOKです。
重要書類なので、引き受けの受領書をもらいたい場合は「特定記録郵便」を利用すればよいかと思います。
受理されたかも知りたい場合は、控えの届出書とあわせて2部作成し、「切手を貼った返信用封筒」とともに送付すれば、控えに「収受日付印」を押した上で返信してもらえるそうです。
まとめ
とりあえず、こんな感じで思ったより簡単に「青色事業専従者給与に関する届出書」を書くことができました。
「給料の届出書」と聞いたら、もっと難しいことを書く必要があるのかと思っていましたが、実際予想していた以上に簡単でした。
もし、今後開業する方で配偶者・家族・親類などに給与を払いたいときは、その年の3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出をお勧めします。
もし、3月15日までに提出できなくても、届け出書さえ提示すれば、2ヶ月前にさかのぼって給与を支払うことも出来るそうです。