先日、コメントにてデジタルデバイスを操るメガネとしてJINS ASSIST教えてもらいました。
それがこちら。
目次
JINS ASSISTとは
このJINS ASSIST、あのメガネの製造と販売を行っているJINSのハンズフリーマウス(デバイス操作補助具)です。
こんな感じでメガネに着脱可能なウェアラブルデバイスです。
これまで使ってきた機器たち
僕は両手の指が動かせないのでパソコンを操作するために、これまで15万円未満の製品であればいろいろなデバイスを試してきました。
中でも一番操作性が良くて、今でも愛用しているのがSmartNavです。
しかしこのSmartNav、2018年に製造が中止されてしまいました。
今は買おうと思っても入手することができません。
そんな感じで見事ハンズフリーマウス難民となってしまい、先が非常に不安になった僕は、代替えとなりそうな製品もいくつか試してみました。
とはいえ、SmartNavに勝る操作性のものは存在しませんでした。
そんな中、あのメガネ製造販売で有名な日本企業のJINSがハンズフリーマウスを作ったというじゃありませんか(ちなみにSmartNavはアメリカのNaturalPoint社製)。
しかも値段は、操作デバイスだけだと15000円(税込)、メガネとのセット購入でも24900円(税込)という破格の安さ(※この記事の執筆時点)。
一般的にこういう福祉目的の製品は、最低でも5万円、高いものだと20万円以上は当たり前です。
15000円くらいなら、たとえ試用してダメでも悔いはない
ということで、早速購入して使ってみることにしました。
届いたJINS ASSIST
で、実際に届いたものがこちら。
中に入っていたのはこちらの3点。
- メガネケース(上)
- ハンズフリーマウスデバイス(左)
- 説明書(右)
JINS ASSIST本体を取り出したものがこちら。
接続端子はUSB-Cです。旧USB(USB-A)しかないデバイスでの使用は、以下のような変換アダプターが必要になります。
僕はメガネを持っていないので、販売サイトでシンプルなメガネ(度なし)も購入しました。
メガネに取り付けた状態がこちら。
こんな感じでメガネのつるにつけて使います。
装着方法は、ただカチッと嵌める感じ。
メガネのセットができたら、あとはUSBに挿すだけです。これだけ。これが本当に簡単。
USBに挿した時点で、基本動作はできるようになります。
ただ細かな設定もできるように、こちらの補助ソフトもインストールしておくことをお勧めします。
設定から細かな調整もできます。
このソフトが正式に対応しているのが、Windows 10以降(x64, arm64)・MacOS 13以降 (apple silicon, intel)。
正式対応はしていないが、動作を確認しているOS群がこちら。
- Windows 32bit: 補助アプリが使用できません。
- ChromeOS: 補助アプリが使用できませんが、本体動作は確認しております。
- iOS: iOS 13以降でアクセシビリティ機能(AssistiveTouch)を有効にすることで動作が可能です。AssitiveTouchの設定方法に関してはさまざまな使い方(モバイル向け OS 特有の設定・操作)をご参照ください。
- iPadOS: iPadOS 13.4以降でUSBマウスに対応しており、接続し使用することができます。AssistiveTouchを設定するとより楽に操作が可能です。
- Android: USB Host機能を搭載したAndroid 6以降の端末で対応しており、接続後すぐ使用することができます。画面の操作の最適化に関してはさまざまな使い方(モバイル向け OS 特有の設定・操作)をご覧になり設定を行ってください。
あとは頭を動かせばマウスカーソルを動かせるようになります。
できる動作がこちら。
- カーソル移動
- クリック
- ダブルクリック
- スクロール
- ドラッグ&ドロップ
デバイス操作で、これだけできれば大抵のことはできるのではないでしょうか。
使用感を見る場合はこちらの動画が参考になるかと思います。
詳しくはこちらのマニュアルをご参照ください。
使ってみた感想
で、実際に使ってみました。僕が購入した主目的の結論を先に書くと、操作性(カーソル移動)はSmartNavにはかないませんでした。
とはいえ、僕がこれまで使ってきたハンズフリーマウス系のデバイスの中では、SmartNavに次ぐくらいの使いやすさになっていると思います。
カーソル移動
SmartNavのカーソル移動の操作性を100だとしたら、JINS ASSISTの方は個人的な体感では50。使い方に慣れて習熟度が上がれば、60~70くらいになれるかなといった印象です。
JINS ASSISTは、モニター画面上大きく動かすのは非常に良いところまでいっていると思います。顔のふりと動作に大きな違和感はありません。
ただ細かな動作がSmartNavほど細かくはできないといった感じです。
僕はハンズフリーマウスでプログラミングなどをするので、エディターなどでメインに使用します。そのエディター上で細かな文字を選択するのがかなり難しいです。
補助ソフトのカーソル設定オプションなどもいろいろ調整してみたのですが、SmartNavほどの精度は僕には出せませんでした。
ただこの補助ソフトもJINSの方で頻繁にアップデートが繰り返されているので、今後もっと操作性が良くなる可能性は大いにあると思います。
アップデート情報などは、Xアカウントでチェックできます。
公式 X https://x.com/JINS_ASSIST
カーソル移動に関する追記(2025年4月9日)
以下のような設定を行なうことで、カーソル移動をさらに調整することもできるようです。
カーソル常時連動時のカーソル移動のメインの調整パラメーターは以下の5つあります。
・OS側でのカーソル速度
・OS側でのカーソル加速有無
・ASSIST側でのカーソル速度
・ASSIST側でのカーソル加速(無…強)
・うなずきの感度(小さい動きを拾うか)— JINS ASSIST (@JINS_ASSIST) April 7, 2025
JINS ASSISTはOS側で速度標準・加速無しに設定した時に使いやすくなるように調整しておりますが、最近のOSの標準設定はカーソル加速有になっており、その場合加速が二重で効いて強すぎることになる可能性がございます。
— JINS ASSIST (@JINS_ASSIST) April 7, 2025
また、ピクセル単位でカーソルを合わせるような操作の場合は「うなずきの感度」を「敏感」側にしていただきますと、ゆっくり動かした時にじわじわ動くようになるかと思います。
— JINS ASSIST (@JINS_ASSIST) April 7, 2025
あと調整可能なところは、(必ずメガネの右外軸に設置していただく必要がありますが)軸タイプを「右垂直平均化」にしていただきますとレスポンスは少し落ちますが、細かい震えを多少吸収してカーソルが動くようになります。
以上お試しいただければ幸いです。
— JINS ASSIST (@JINS_ASSIST) April 7, 2025
クリック動作
JINS ASSISTのクリック動作なども確認してみました。
僕は普段カーソル移動でしかハンズフリーマウスを使用していないのですが、クリック動作はかなり使いやすいと思います。
JINS ASSISTは、カーソル移動して一定時間カーソルを同じ位置にとどめておくと以下のようなマウス操作の選択肢が出ます。
このコマンドが出た状態で顔を上に上げると「ダブルクリック」、顔を下に向けると「クリック」、顔を右に向けると「右クリック」、顔を左に向けると「ドラッグ&ドロップ」ができるようになっています。
以下のJINS公式による説明図が非常に分かりやすいです。
【操作手順がなかなか覚えられない】
操作の手順がなかなか思い出せない時は
リモコン(メイン画面)の「?」ボタンを
クリックしてください。
基本操作のイラストを表示できます。 pic.twitter.com/gYzg43GaSs— JINS ASSIST (@JINS_ASSIST) March 7, 2025
このマウス操作は非常に直感的で使いやすいです。
SmartNavにもDwell-Clickingというクリック補助ソフトはあります。
このソフトはダブルクリックやドラッグ&ドロップをする際いちいちモードを変更してから行なう必要があります。なので使っていると結構面倒くさいです。
クリック補助動作に関しては、JINS ASSISTの方が圧倒的に使いやすいように思います。
僕の場合、ハンズフリーマウスを使う目的は「カーソル移動」だけです。ただ、「全マウス操作」を目的として利用する場合は、JINS ASSISTは非常に良い選択肢の一つになると思います。
スクロール操作
JINS ASSISTは、首を右に傾けると「下スクロール」。首を左に傾けると「上スクロール」を行います。
この機能も何気に便利です。
僕が知る限りではありますが、他のハンズフリーマウスではこういった機能はなかったような。ハンズフリーマウスでのスクロール操作というのも、意外と面倒な動作なんですよね。
スクロール操作感はこちらの動画の7秒ぐらいのところで見ることができます。
ただこれは僕の環境だけなのかもしれませんが、スクロールさせるアプリによっては動作したりしなかったり、動作が不安定でした。これは僕の設定が悪いのかもしれません。
Androidタブレットでの動作
このJINS ASSISTはAndroidタブレットでも使えます。補助ソフトは非対応ですが、カーソル移動やクリック動作も問題なく行います。
僕の場合、タブレットで電子書籍を読むことがあるので、このAmazon Fire Maxタブレットを利用しています。
このAndroidタブレットにもUSB-Cを差し込んだだけで動作したのには感動しました。とにかく簡単。
漫画などのページ送りの動作を首の動きだけで出来るのは両手に重度障害持ちの僕にとっては、いちいち手を動かすより省エネで漫画が楽しめます。
タブレット操作に関してJINS ASSISTは、かなり有用なツールだと感じました。
正式対応ではありませんがiOS、iPad OS、Androidで動作し、これほどリーズナブルな価格のハンズフリーマウスは僕が知る限り他にないような気がします。
JINS ASSISTの主戦場はここじゃないかっていうくらい、タブレットで使えるのが僕にとってありがたかったです。
実際先ほど紹介した動画でも、パソコン操作よりタブレット操作の動画の再生数の方が倍くらい多いです(※この記事の執筆時点)。
上パソコン操作。下タブレット操作。
ここにかなりの需要がありそうですね。
そもそもパソコンにしろタブレットにしろ福祉機器デバイスの動画がこれだけ再生されること自体がすごいですが。
よかった点・イマイチだった点
ここ数日、JINS ASSISTを使ってみて、よかった点とイマイチだった点を思いつく限り挙げてみます。
よかった点
- 顔の動きだけでまずまずの精度でカーソル移動ができる
- 全てのクリック操作はワンアクションでできるので非常に使いやすい
- 首の傾きでスクロール操作ができる
- スマホやタブレットって使えるのは僕にとっては画期的(※動作はするが正式対応ではない)
- USBを挿しただけですぐに使い始められて超簡単
- 日本の東証プライムに上場企業のJINSホールディングスのグループ事業JINSが開発しているのは大きい
- 価格もリーズナブル
これまで、こういった福祉機器はアメリカ製のものしかほぼありませんでした。しかしながらこういうデバイスを日本企業が作っているのは、一ユーザーとして本当に頼もしいと思います。
何せ米ナチュラルポイント社のSmartNavは製造中止…。この先良い未来は見えないですからね。
イマイチだった点
- 細かなマウスカーソル移動が難しい(大きな移動は結構思った通りになる)
- 有線なので着用したままでの行動範囲が限られる(パソコンなどから離れるにはメガネを外す必要がある。タブレットはそのまま一緒に持ち歩けばOK)
- メガネの片側のつるに補助デバイスをつけるので、ちょっと激しく動くとメガネが傾きやすい(障害のある人などは自分で直せない人もいるので)
- ハンズフリーマウスを使うには基本的にメガネが必要
- まだ世の中に浸透したデバイスでないので外でつけていると「あいつ何つけてんの?」となりそう
- 寝ながらだと使いづらい(カーソル移動する前にうなずき動作をしなければならないが、その際は顔を起こさないといけない)
- 上と同様に膝に置いてあるデバイスなどは使いづらい(上と同様の理由)
- 非対応デバイス(僕が試したのはAndroid)だと動作が不安定な場合もあった
- AndroidでJINS ASSISTを利用すると手動動作ができない(できるが著しく反応が悪い)
- 僕の環境(Windows 11)だとスクロール動作がちゃんと動作しないことが多かった
SmartNavの場合は、毎回反射シールを貼るという煩わしさがありました。JINS ASSISTはメガネありきの設計なので、普段メガネをかけていない人には慣れが必要かもしれません。
まあでもやろうと思えばヘアバンドとかにも補助デバイスはつけれそうですし、工夫次第で何とでもなると思います。
まとめ
何度も書いてしまいますが、こういった福祉向け機器を日本の会社が作ってくれているのがなによりうれしいです。
こうした日本の有名企業が、こういった矜持を持って開発に取り組んでくれている上に、その製品をこんな安価で提供してくれるなんて胸アツです。
この詳細オプションにデフォルトで用意されたプリセットの細かさを見てもJINS ASSISTへの本気度が伝わってきます。
これは今後も買って応援したい。
と詳しく知れば知るほど思いました。
僕はタブレット用として、今後も使わせて頂こうと思います。とりあえず明日通院日なのでこれでKindle漫画でも読もうかと。
JINS ASSISTにはXアカウントもあるので、チェックしてみることをお勧めします。
公式 X https://x.com/JINS_ASSIST
公式サイトはこちら。
マニュアルサイトはこちら。