僕は首の骨を折ってしまい、体が動かないので24時間寝たきり生活をしています。
寝たきり生活をしていると、不便なことは多々あります。
けれど、最近僕の頭を悩ませているのが
とにかく首が痒い!
ということです。
寝たきり生活となると、基本的に1日の大半の時間をベッドで寝て過ごします。
すると、首の後ろが常に枕に当たっている状態になります。
すると、首の後ろが蒸れてしまって、以下の部分が痒くなるんですよね。
Image by Zygote Body.
これを改善するために、いろいろな枕を試したり改造したりしました。
今回は、当記事の執筆時点での「寝たきり用の枕改善」の集大成を記しておこうと思います。
目次
これまでの枕改善の歩み
これは、身をもって感じているのですが、人間、痛みよりも痒みに耐える方がきつかったりします。
僕も出来る限り「首の後ろに痒みのない枕」をめざして試行錯誤してきました。
風通しの良い枕にする
そのために、風通しの良い「ブレスエアー」素材を使用した枕を使ってみたこともありました。
こういった「ブレスエアー枕」を試用する前は、全く風通しのない「テンピュール枕」を利用していたので、以前よりは痒みは改善しました。
風通しの良い枕にファンで風を送る
しかしいくら風通しの良い「ブレスエアー枕」を使おうと、首の後ろが常に枕に接触していることに変わりはありません。
なので、長時間利用していると、どうしても首の後ろが蒸れて痒くなってしまいます。
これに対して、
首の後ろが蒸れるなら、風を送ろう!
ということで、ファンを取り付け、「首の後ろに風が通る枕」を作成しました。
これも、かなり効果はありました。
以前、梅雨時期や夏場などは、首の後ろが蒸れて赤くなることも多かったのですが、これでほとんど改善はしました。
しかし、いくら風を送っても、常に首は枕に接触しているわけです。
この接触部分がどうしても痒くなります。
ならば、首が枕に接触しない枕にすればよい!
ということで、今回の試みに至りました。
首が枕に接触しない枕
「首が枕に接触しない枕」ということで、まずは以下のような枕を想像しました。
上記のような枕を求めて、「ブレスエアー枕」の中材をハサミで切って作ってみたりもしました。
しかしブレスエアー素材は、中身がスカスカの素材なので、ハサミで切って接地面を小さくしたことにより、頭の重さを支えきれず、ペシャンとつぶれてしまいました。
なので、
ある程度、硬さがある素材で、首の部分が当たらない構造の枕はないものか…
とあらゆるネットショッピングサイトを探してみたのですが、枕では見つかりませんでした。
枕がないので調査範囲を広げとにかく「以下の構造に近いクッション性のあるものはないか」と探しました。
そしたら、「椅子用のクッション」で似たような構造のものを見つけました。
それがこちら。
かなり理想の形に近い形のウレタン素材のクッションです。
大きさ、形、素材の柔らかさ、枕としての高さも申し分ありません。
この、椅子用のクッションを「首が枕に接触しない枕」として仕上げることにしました。
首が枕に接触しない枕として仕上げる
まず、購入した「椅子用のクッション」は、デフォルト状態では以下のような目の粗い黒いカバーがかかっています。
これだと、目が粗すぎて皮膚への負担が大きいので、カバーを外して使用することにしました。
その状態がこちら。
これに対して、しっかりとした枕用のカバーを購入します。
僕が購入したのはこちら。
サイズは、以下の3種類があるのですが、それぞれ試してみた結果50×70cmがベストかと。
43×63cmでもカバーが入らないこともないのですが、サイズが微妙に小さくて、どうしても中材が変形してしまいます。
ですので、多少ダボつこうとも50×70cmサイズが最も余裕をもって使えるかと思います。
試しに寝てみると、首に枕が当たらないのでいい感じ。
さらに、これに加えて以下の方法で枕カバーの中に風を送る構造にしました。
これで、枕が首に当たらず、湿気もこもりにくい、当初理想としていた枕が完成しました。
今回の枕の最大の難点
ただ、実際に「首が枕に接触しない枕」を作成してみたものの、使用していると最大の難点に気づきました。
それは、「とにかくクッションの素材がくさい」ということです。
とにかく、化学素材系のニオイというか、新車のセダンのシートみたいなニオイが常にします。
僕は「新車のニオイ」が大の苦手なので、枕として常時使用していると、「24時間常に新車のウレタンくさい」という状態になってしまいました。
せっかく理想の形の枕を手に入れたのに、あまりにもの臭さに使い物にならなかったということです。
仕方ないので何とか脱臭してみることに。
車椅子クッションの脱臭
僕が行った脱臭方法としては、まず以下のクッション中材にファブリーズをかけて、風通しの良い外で陰干しを続けるというものです。
ただ、この方法を何度か繰り返したものの、1週間かそこらではニオイは全然取れませんでした。
その後、ファブリーズをかけるのも、面倒くさくなってきたため「風通しの良い場所にとにかくおいて放置作戦」に切り替えました。
それでも、ニオイは取れず3ヶ月でもダメ、半年でもダメでした。
なので、そのまま放置状態をキープ。
風通しの良い場所に放置してから2年後、もうクッションの存在すら忘れていた頃に、たまたま目に入ったのでニオイを嗅いでいました。
すると嘘のように「新車のニオイ」は消えていたので、ようやく枕として使用出来るようになりました。
ということで、僕がクッションを購入してから、枕として実用に至るまで、2年の歳月が経っています。
この「脱臭期間が必要」ということが、今回の椅子用クッションの最大の難点です。
別のクッションを購入すれば、臭くないのもあるのではないか?
と思って、以下の他社のものも購入してみたのですが、ニオイは全く同じでした。
実際に「首が枕に接触しない枕」を使ってみて
最終的な完成形はこちら。
この「首が枕に接触しない枕」を1ヶ月間使ってみた限りでは、「首の後ろが痒くなくなる」枕としては、非常に良い枕に仕上がったと思います。
まず、首の一番痒くなる以下の部分は空洞になっているので、皮膚に接触せず痒くなりません。
Image by Zygote Body.
加えて、枕カバーの中に風を送り込むシステムを搭載したことで、枕表面の空気を常に循環している状態にも出来るので、蒸れにくくもなっています。
これだけ痒くならない条件が整った枕を使えば、寝たきりであってもかなり首の後ろは痒くなくなりました。
一応難点も
新しい枕はこんな形です。
なので、首の後ろは当たらないので痒さがかなり軽減します。
しかし、形状を変えたことにより、今度は以下の部分に枕が軽く当たるようにはなっています。
Image by Zygote Body.
ただ、僕の場合は以前よりも、トータルでかなり首の痒みが軽減したことには間違いないです。
まとめ
クッション購入から実際に利用するまで、2年の歳月がかかりました(途中忘れてました)が、ようやく現時点で理想の枕が作成できました。
ただ、今回作成した枕も長く利用しているうちに、不満点が出てきてまた改善する必要が出てくるのではないだろうかと思います。
そういうことも含めて、この一生付き合うことになるであろう「究極の寝たきり用の枕作り」に楽しんで取り組みたいと思います。
今回頸髄損傷の僕に一番合っていた、硬さと高さのクッションはこちら(柔らかめ)。
クッション材が少し硬めで、枕面が少し高いものがこちら。
2つをいろいろ比較して一定期間使用してみた結果、僕は前者の方が合いました。
枕の好みは人それぞれなので、ここら辺は好みになると思います。