僕は頚椎損傷C4-5という状態で、腕や指が思うように動かせません。
なのでマウスなどを操作できないため、パソコンを操作をするのに「SmartNav 4AT」(以下SmartNav)という特殊なポインティングデバイスを使用しています。
このSmartNavというデバイスは、僕のように上肢障害があったり、ALS障害を持っている人が、動かない両手の代わりに頭(もしくはその他の部位)などを使い、自由にコンピューターを制御出来るようにするハンズフリーマウスです。ですので僕のような四肢麻痺者が、パソコン操作をするのに、なくてはならないデバイスになっています。
「SmartNav 4AT」は、このような小さなテレビのような形をした機器です。
どういったものかイメージしづらい場合は、まず動画を見てみることをお勧めします。英語ですが、どのような使い方をするのかイメージは掴めます。
僕は、この「SmartNav 4AT」を利用して、もう5年近くにもなります。このデバイスがいかに四肢障害者(上肢障害者)に有効だったか以下で説明したいと思います。
目次
顔などに反射シールを貼るだけでマウスのカーソル操作が自由に行える
頭、顔(もしくはその他の部位)に、反射シールを貼り付けて、動かすことで、パソコン操作ができます。
カーソル移動は、シールを張り付けた部位を小さく動かすだけで、上下左右マウスのポインターを動かすことができます。
僕の場合は、左手前にSmartNavを置いているので、左あごの下にシールを貼っています。
materials – skin [Lee Perry-Smith]
こうすることで、顎を上下左右小さく動かすだけでマウスカーソルを自由自在に動かせます。
僕の場合は、PCモニターの上にカブレステープで固定して使っています。
このように、SmartNavを置いて、顔などにシールを貼るだけで簡単に使い始めることができます。
手が全く動かせなくても完全なマウス操作が可能
僕の場合は、多少左ひじを曲げることぐらいはできるので、クリック動作は、トラックボールで行っています。ただ、僕よりも障害の状態が重い人は、両手を完全に動かせない人もいるかと思います。
そんな方にでも、「Dwell-Clicking」というSmartNav附属のソフトを使えば、通常クリック、右クリック、ダブルクリック、ドラッグ、ウィンドウの移動、などの操作を完全にハンズフリーで使うことができます。
参考 NaturalPoint Dwell-Clicking ソフトウェアの使い方
僕は、麻痺が残る左腕を無理やり動かして、クリックしているので、たまに肘が腱鞘炎になることがありました。そんな時は、この「Dwell-Clicking」機能を使用しています。
自分の状態にあった環境を設定次第で構築できる
デフォルトの設定では、使いづらいと思うかもしれませんが、SmartNavは詳細に動作を設定することができます。
ですので、「小さな動きで大きく動くようにしたい(逆も可)」「動作のブレを少なくしたい」「縦置きモニターに対応したい」「アプリのボタンなどを押しやすくしたい」などの使用してから出てくる要望にも、設定次第で柔軟に対応できるようになっています。
設定方法に関しては以下で解説しています。
参考 とりあえずここだけは押さえておきたいSmartNav 4ATの設定方法
アクセサリも選べる
もし、マウス(トラックボール)ではなく普通のボタンで利用したいという場合は、スペックキャップスイッチというボタンも使えます。
手が使えないけど、足が使えるという方は、フットスイッチなども使うことができます。
アクセサリに関してはこちらが参考になります。
追記:Windows10パソコンでも動作しました
先日、Windows10が発売され、マイクロソフトも強く10 OSを推奨しているようです。
それとともに、当サイトに「SmartNavは、Windows10環境で動作するのか?」という問い合わせが結構来るようになりました。
それに関しては、僕もかなり気になっていたところではあったのですが、Windows10環境を持っていなかったので、「わからない」としか答えられませんでした。
けれど、SmartNavは、僕にとって必要不可欠なデバイスです。なので「今後Windows10で動作するか?」ということは、かなり重要項目であったため、検証のため新しいWindows10ノートパソコンを購入し動作を試してみました。
このWindows10ノートパソコンで、もう5ヶ月以上(この追記を書いた時点)、SmartNavを使用していますが、正常に動作しているようです。今のところ、何の不具合もなく動作しています。
ですので、SmartNavは、大抵のWindowsパソコンなら動作するのではないかと思います。
まとめ
僕は、上肢障害者がパソコンを使うためのデバイスとしてSmartNav以上の物を知りません。あったら是非教えて欲しいくらいです。是非買いたいので。
僕は、「寝ながらパソコンをする用」と「車椅子に乗ったとき用」の2つを購入して利用しています。
これを購入する前は、麻痺の残る手でケンジントンのトラックボール球をコロコロ転がしパソコンを使っていました。今考えると健常者の10倍以上の時間をかけてパソコン操作をしていたと思います。
けれど、これを使用するようになってから、マウスカーソル操作だけであれば、健常者に負けないくらいの操作を行えるようになりました。おかげで、今のところストレスなくカーソル操作が出来ています。
SmartNavは、決して安いものではないですが、今は僕の生活になくてはならないものになっています。
お久し振りです。
私は今、このSmartnavとほぼ同じ原理で動くヘッドトラッキングツールを使用しています。
知人の開発したもので、一時webで公開もしていました。
顔の動きを追随してくれるポインティングデバイスは、頸損者でも直感的にPCを操作できるので、必須の環境だと思います。
私はtobii社のPCEyeMiniも使用してますし、Windows標準搭載の音声認識も使用してますが、ヘッドトラッキングツールには敵わないな、というのが感想です。
それで私の使用しているツールなのですが、個人開発ということで、Windows更新の度のサポートはもう出来ないと言われました。
フリーソフトの宿命ですね。
わいひら様のブログでsmartnavは存じてましたので、そちらに乗り移るかと思ったのですが、これも生産は中止したとありました。
代理店で在庫はあるようですが、今後を考えますと不安です。
後継、若しくは代替について、何かお心当たりございますでしょうか。
よろしければお教え下さい。
//因みにsmartnavのデモ機申請をして、そろそろ届く予定です。