2018年にハンズフリーマウスのSmartNavが生産中止となりました。
SmartNavは、小さな顔の動きでパソコンのマウスポインターを操作できる、どちらかと言うと障害者向けのポインティングデバイスです。
僕のように手でマウスの操作がままならない障害のある者にとって、パソコンを操作するのに非常に重要な機器です。
とりあえず生産中止となる前に、「予備機」を数台確保して事なきを得ました。
しかしながら僕にとってSmartNavは全て使い潰してしまうとパソコンができなくなってしまうくらい、大事なデバイスです。
そういった「全て故障してしまう」という最悪のケースを想定して、代替方法も模索してみることにしました。
代替機器はAblenet TrackerPro 2にしました。
目次
Ablenet TrackerProとは
Ablenet TrackerPro(以下、TrackerPro)もSmartNavと同様に「顔の小さな動き」でマウス移動を行うことができるデバイスです。
とりあえず、どんなものかは動画を見た方が早いので、こちらをご参照ください。
詳しい説明がこちら。
AbleNet TrackerProは、手をわずかしか動かせない人やまったく動かせない人のために、マウスの代わりとなるコンピュータ入力デバイスです。
小さな点をあなたの額、メガネ、帽子の縁などに取り付け、その動きを高解像度のインテリジェントカメラが追うことで、マウスのエミュレータとして機能します。ソフトウェアは不要。
TrackerProをコンピュータのUSBポートにつなぎ、MacBookやiMacにマウントするだけです。
対応OS
TrackerProの大きな特徴として、多数のOS上で動作します。
- Windows
- macOS
- Chromebook
- Android
- iOS
USB-Aポートがついているデバイスであれば、接続するだけのドライバー不要で利用できます。
SmartNavは基本的にWindowsのみ対応。しかもドライバー必須だったので、この手軽さは嬉しい。
TrackerProのクリック操作
重度障害で手が動かせずクリック動作を行えない場合は、SmartNav4:ATの「Dwell Clicker 2」に相当する「クリックアシストソフト」を別途購入する必要があるようです。
以下はソフトの一例です(for Windows)。
TrackerProに決めた理由
なぜTrackerProにしたのかというと、SmartNav製造元のNaturalPoint社のセールスディレクターCase Bowman氏が、SmartNav代替として推薦したのがAblenet TrackerProだったからです。
実際に購入したTrackerPro
テスト試用のため実際に購入したTrackerProがこちら。
箱を開くとこんな感じで収納されてます。
中に入っていたのがこちら。
- TrackerPro本体
- クリックスイッチ用の延長コード(長いコード)
- 取り付け用のシール(袋の中に入っている黒いやつ)
- 操作用の反射シール(袋の中に入っている丸いやつ)
- 取扱説明書
TrackerPro本体
これが本体。
ケーブルはUSB-Aで機器に接続するだけで使えます。
裏面はこんな感じ。
背面中心にカーソル移動速度を変更するスイッチなどがついています。
USB延長ケーブル
延長ケーブルがこちら。
取り付け用のマジックテープ
取り付け先に貼るマジックテープです。
TrackerProの土台を外すと、以下の矢印部分のようなマジックテープがあるので、これで貼り付けて設置することも可能です。
ポインタ操作用の反射シール
マウスを操作するための反射シールがこちら。これはSmartNavの反射シールと同じっぽい。
このシールを、顔に貼り付けて、顔の小さな動きでマウスポインタを操作します。僕の場合は、顎の下に貼り付けて利用しています。
以下のようにTrackerPro本体からは赤外線が出ています。
この赤外線を反射シールで反射させて、その反射動作を機器で読み取ってカーソル移動に反映させています。
取扱説明書
取扱説明書がこちら。
僕が購入したものには、日本語含む6言語分入っていました。
SmartNavと比較
このTrackerProを購入したのは「SmartNavの代替となるか?」ということを確認するためです。
そのため、SmartNavとTrackerProを比較した利点・難点を感じたままに書きたいと思います。
TrackerProの利点
SmartNavと比較してTrackerProの利点はなんといってもこちらでしょう。
- USBに挿すだけで使えるので設定が簡単
- 専用のドライバやソフトも不要
- 対応OSが多い
設定が簡単
まず、とにかく設定が簡単です。
USBに挿し込むだけなので、誰でもできるかと思います。
反面、SmartNavは必ずドライバーやソフトが必要になります。そういった面では、ちょっと設定のハードルが高いかもしれません。
対応OSが多い
あとTrackerProは対応OSが、Windows、macOS、Google Chrome、Android、iOSデバイスと多いです。
なので、Windows以外で使用するならば、TrackerPro一択なのかもしれません。
TrackerProの難点
SmartNavと比較してTrackerProの難点がこちら。
- 動きに遅延がある(後から追従してくる感じでもっさり)
- SmartNavほど細かな動作調整ができない
- 細かなターゲットに合わせづらい
動きに遅延がある
TrackerProはSmartNavと比較して、動作がもっさりとしています。
というのもTrackerProは、顔を動かした0.1秒後にマウスカーソルが遅れてついてくるといった感じの動作。
SmartNavだと、速攻で顔を動かした位置にキビキビとカーソルがついてきます。なので、SmartNav操作に慣れた人だと、この遅延は結構なストレスかもしれません。
TrackerProの動作例
ちなみに、TrackerProで顔を左右に素早く動かしたカーソル動作例がこちら。
顔を思いっきり左右に振っているのですが、ついてくるのが遅いです。
SmartNavの動作例
SmartNavで顔を左右に早く動かしたカーソル操作例がこちら。TrackerProと同様の速さで顔を左右に振っています。
見た感じでも、明らかに動作のキビキビ度合いが違うかと思います。
TrackerProは動作の調整機能が少ない
TrackerProは、USBポートに挿せば利用できるので、ドライバーが必要ありません。
それは楽で良いのですが、専用のソフトもないので、細かな設定ができません。
例えばSmartNavであれば、「SmartNAV Settings」というソフトがあり、非常に細かな微調整ができます。
しかしながらTrackerProの調整は、コントロールパネルの「マウス」でできる設定のみに限られるので、ある程度しか調整できません。
細かなターゲットにカーソルを合わせづらい
TrackerProは、遅延があったり、カーソル操作の微調整機能も弱いので、細かなターゲットにカーソルを合わせるのには向きません。
例えば、エディター上で細かな文字選択とかは、かなりやりづらいです。
かなり精度がいるマウスカーソル操作を求めているのであれば、間違いなくSmartNavの性能が高いです。
まとめ
ということで今回、「SmartNavの代わりにTrackerProを使えるのか?」という思いからTrackerProを購入して試用してみました。
結果として、「SmartNavに慣れた人がTrackerProに移行するにはかなり厳しいのではないか」という結論に至りました。
SmartNav操作に慣れた人にとって、TrackerProのカーソル操作精度の低さは、結構なストレスになると思います。
重ね重ねSmartNavが生産中止になったのが悔やまれます。TrackerProの方が値段も高いし。
とはいえTrackerProも、「USBを挿すだけで使える」「様々なOSで利用できる」という利点もあるので、ここら辺は素晴らしいと思います。
「あまり精度の必要のない顔によるマウス操作」ということに限定すれば、「使えないことはない」といった印象です。
SmartNav 4:EGは以前5万円ほどで購入できましたが、価格が20万円になっても良いので、再生産を願いたいというのが率直な感想です。
初めまして。
クリックアシストソフトで
smartboxのdwellclicker2を紹介されていらっしゃいますが
これは支払い方法はクレジットカードのみでしょうか?
海外のソフトをダウンロードした事が無く困っております。
ご存じであれば教えていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。