ピロリ菌て本当にろくなことをしないと思います。
僕は以前、十二指腸潰瘍になったことがあるのですが、主要原因はピロリ菌で、10日間入院する羽目になりました。
ただ、ピロリ菌は事前にかなり簡単な検査で発見することができるので、まだ一度もピロリ菌検査を受けたことがない人は、一度受けてみることを強くおすすめします。
というのも、ピロリ菌の有無を調べておくことで、今後のかかるかもしれない、いくつかの重篤な病気のリスクを知ることができるからです。そして、例えピロリ菌がいたとしても、薬を服用するだけで、その重病のリスクを減らすことができるからです。
ということで、今回はピロリ菌と検査について書きたいと思います。
目次
ピロリ菌が引き起こす病気
ピロリ菌に感染すると、発症リスクが高まる病気として主に以下のようなものがあります。
- 胃ガン
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 収縮性胃炎
国立国際医療研究センター理事・国府台病院長の上村直実氏が日経新聞のインタビューで答えておられましたが、胃ガンの99%がピロリ菌感染が原因にあるとのことです。
胃がんの99%はピロリ菌感染がベースにあります。ピロリ菌に感染している人は、感染していない人に比べると、20~30倍も胃がんになる確率が高いとされています。
引用:胃の一生はピロリ菌に感染しているかどうかで決まる:日本経済新聞
僕は十二指腸潰瘍になったわけですが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍なども、ピロリ菌を除菌することで再発をほとんどなくすことができるそうです。
胃潰瘍は一度治っても再発する、一生の病気だと言われていたのが、ピロリ菌を除菌すればほとんど再発しなくなるという事実が報告されたのです。
また、これらの病気の他にもピロリ菌が深く関わっている病気として以下のようなものが挙げられます。
- 胃MALTリンパ腫(胃の中にあるリンパ球が腫瘍化したもの)
- 胃過形成性ポリープ(良性のポリープ)
- 特発性血小板減少性紫斑病(血小板が減少してしまう血液疾患)
実は最近、父が特発性血小板減少性紫斑病になりました。
通常の人なら血小板数は、13.1~36.5万が必要です。(以下は僕の血小板の数値)
しかし、父はこの病気になり、血小板数が0.2万(2000)になってしまいました。
しかもこの特発性血小板減少性紫斑病にかかっているという事実がわかったのは、胸部大動脈瘤が破裂した後、救急車で運ばれて、緊急手術が行われた後です。
幸い、手術は成功しました。しかし、術後、血小板数が5000以下が続き、傷口も塞がらず、大量の血小板輸血を必要とし、20日間ぐらい安静のため薬で眠った状態のままとなりました。当然その間、父の体はかなり弱り、眠りから覚めた後は、ナースコールも押せないくらいになりました。
現在は、意識を取り戻し、安静化時に行われた、ピロリ菌除菌効果もあってか、血小板数は平均値くらいまでにはなりました。(そしてリハビリのおかげで、歩けるくらいにも回復しました)
血小板減少症は、大学病院の先生によると、ピロリ菌が原因ではないとのことです。ただ、緊急時でありいろいろな処置を行ったため、血小板数が回復したのは、他の薬の効用の可能性もあります。(※詳しくは、厚生労働省難治性疾患克服研究事業の成人特発性血小板減少性紫斑病治療の参照ガイドにほぼ沿った治療が行われました。)
とりあえず、僕の十二指腸潰瘍はともかく、父はこのピロリ菌のせいで、大変な目にあいました。
ピロリ菌感染の原因と考えられるもの
で、先程の日経新聞のインタビュー記事の胃の一生はピロリ菌に感染しているかどうかで決まるでも、ピロリ菌の主な感染ルートは水とされています。
ピロリ菌の感染ルートは水であるとされ、上下水道が完備していなかった時代、つまり今の50歳以上の人が幼かったころはピロリ菌に感染しやすい環境でした。
僕の家は、僕が生まれた時には、既に水道水ではあったのですが、何でだろう。
それはともかく、家族の中で、僕と父にピロリ菌がいたということは、同じ水を飲み、同じ食べ物を食べている他の家族にも、感染している可能性が高いのではないかと思います。
なので、家族にピロリ菌検査を勧めるため、まず僕がピロリ菌検査を受けてみることにしました。
ピロリ菌検査が簡単ということは知っていたのですが、家族に勧める以上、まず自分が「どういった検査をするのか」ということを知っておく必要があると思ったからです。
※以前、十二指腸潰瘍で入院した時も、ピロリ菌検査をしたと思うのですが、体調不良と入院のどさくさでどんなことをしたのか全然覚えていなかったので。
で、近くで開業されている僕の主治医でもあるクリニックの先生に聞いてみました。
すると、大きな病院でなくて近所の診療所みたいなところでも、手軽に検査できるとのことなので、ピロリ菌の検査をしてもらうことにしました。
通常、一度ピロリ菌の除菌をした人が、再び感染する可能性は、かなり低いとのことです。ただ、可能性は0ではなく、除菌から何年も経っているのと、検査方法にも興味があったため、再度検査を受けることにしました。
ピロリ菌の検査方法
ピロリ菌の検査方法を大別すると、以下の4つに分けられます。
- 採血や採尿して抗体を調べる検査
- 検査薬を服用した後に呼気を調べる検査
- 便中の抗原を調べる検査
- 内視鏡で直接胃の粘膜を採取して調べる検査
近所のクリニックでもできるような検査は、2番目の「呼気を調べる検査」になります。
この検査を「尿素呼気試験法」といいます。
大塚製薬のピロリ菌を見つける検査法によると、最も精度の高い検査なのだそうです。
簡単に検査の手順を言うと「錠剤を一粒飲んで袋に息を2回吐き出すだけの検査」になります。
詳しい方法については、次の項目で説明します。
吐き出した息を調べる尿素呼気試験法
で、実際に「尿素呼気試験法」を行ってみました。
クリニックの看護師さんに、検査の説明を受けるときに、「尿素呼気試験の呼気採取法」の書いた案内ボードを見せてもらったので、ついでに写真を撮らせてもらいました。
主な手順
「尿素呼気試験法」の主な手順は以下になります。(まず準備段階として8時間食事を抜いた方が精度の高い検査結果が出るそうです)
- 検査用の袋(1袋目)に息を吐く
- 検査薬を飲む
- 左側臥位(左腹を下)にして5分間待つ
- 座位(普通に座る)で15分待つ
- 検査用の袋(2袋目)に息を吐く
たったこれだけの手順です。
以下で詳しく説明します。
検査用の袋(1袋目)に息を吐く
まずは、検査薬を飲む前に、検査用のバッグにパンパンに膨らむまで息を吹き込みます。
息を吹き込んだら、ふたを閉めて1回目の呼気の採取は終了です。
検査薬を飲む
次に、水100mlで検査薬(ユービット錠)を飲みます。
ユービット錠は、以下のような袋に入っており、
直径8.1mmの錠剤です。
錠剤の性状は以下。
5秒以内に飲む必要があるそうですが、小さな錠剤なので、簡単に飲み込むことができます。
するりと飲めたので、特に苦みなどは感じませんでした。
左側臥位(左腹を下)にして5分間待つ
次に、左側を下にして、ベッドなどに横になって5分待ちます。状態を保ちながら、リラックスして待ちます。
座位(普通に座る)で15分待つ
次に、座った状態で15分ほど待ちます。テレビを見たり、本を読んだりしてもOK。
検査用の袋(2袋目)に息を吐く
ラストに、2つ目の検査用バッグにパンパンになるまで息を吹き込んで、ふたを閉めて終了です。
あとは、医師が、その袋2つを検査に出してくれます。
僕が検査をしたクリニックの場合だと、1週間ほどで結果が届くそうです。(追記:実際は2日で検査結果が出ていました)
検査を受けてみて
こんな感じで、結構簡単に検査は終わります。
別に、胃カメラを飲んで組織を採取したり、注射で血液を採取したりなんて必要ありません。「単に袋に2回息を吹き込むだけ」です。
ちょっとだけ大変かなと思うのは、以下の2点です。
- なるべく食事抜きで検査を受ける(絶対ではないとのこと)
- 検査中、左側臥位になったり、椅子に座ったりして、20分くらい時間がかかる
検査は、クリニックなどにやっているか確認の電話をして、朝食を抜いて土曜日の朝などにちょこっと行ってくれば終わります。
身体的負担は、ほとんどないに等しいと思います。繁盛しているクリニックだったら、待ち時間が大変というくらいかも。
検査の値段
ちなみに、検査の値段は1回、4000円~6000円くらいだそうです。
僕が検査したクリニックでは、検査料は4200円でした。(※初診の場合は、初診料などが必要になります。)
ピロリ菌検査は、胃炎や、胃潰瘍のような、体の不調を受けて行う場合以外は、保険の適用外になります。
ただ、保険適用外で4000円そこそこなら、かなり安いのではないかと思います。
たったこれだけの値段で、胃ガンや胃潰瘍のリスクを大幅に下げることができる(リスクが少ないと知ることができる)のであれば、十分有効なお金の使い方だと思います。
ピロリ菌が発見されたら
あともし、検査でピロリ菌が発見されたとしても、基本的に入院などは必要ありません。
1週間ほど薬を飲むだけで除菌できます。
ただ、除菌薬は医師に処方された分は、用法用量を守ってキッチリと飲む必要はあると思います。
ただここら辺は、ピロリ菌検査をして菌が発見されたとき考えれば良いと思います。
とりあえず大多数の人は、薬を飲めば菌を取り除くことができるそうです。
追記:ピロリ菌が発見されたら処方される薬は、ペニシリン系の抗生物質などを、飲む必要があるので、抗生物質に対する副作用が強い人は、副作用が現れる可能性もあります。
症状としては、発熱、下痢、軟便、味覚異常、アレルギー反応などが多いようです(副作用参考)。通常の抗生物質によって起こる副作用と似ていますね。僕は、以前飲んだピロリ菌の除菌薬では副作用は特に感じませんでしたが、感染症の抗生物質を1週間ぐらい服用して、ちょっとした軟便にはなったことはあります。
自分の検査結果
で、今回僕が行ったピロリ菌検査(尿素呼気試験)の結果はというと、陰性でした。
デルタパーミルという項目の数値が0.3‰でした。2.5‰未満なら陰性ということなので、ギリギリで陰性というわけではなく、結構余裕を持った陰性でした。
主治医の先生のおっしゃったように、「一度除菌すると再発の可能性は低い」という言葉通りの結果となりました。
それにしても、例えどんな検査にしろ結果で陰性と聞くと、得も知れずホッとしてしまいます。
まとめ
大事なことなので何度も書きますが、4000円そこそこで、胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、その他の病気のリスクが減らせるなら、安いものだと思います。
しかも、こんな簡単な検査を受けるだけで感染がわかり、感染していても、薬を飲むだけで除菌できます。
胃がんにしろ、潰瘍にしろ病気の症状が出てしまったら、かなり大変な思いをするのは間違いありません。
それに比べたら、ちょっとした検査で、これだけの健康リスク管理が出来るのはありがたいです。今まで検査を受けたことがない人は、1度は受けておいても損はないと思います。
とりあえず「最近胃が痛い」「家(実家)で井戸水を飲んでいた」なんて人は、検査だけでもしておいた方が良いかと思います。
もし心配で検査を受けて陰性なら万々歳です。
あなた自身は、検査を受けて、「陽性」の場合、「薬を飲んでの治療」の経験が全く無いでしょ!!
「まとめ:感染していても、薬を飲むだけで除菌できます」
「陽性」の場合、「薬を飲んでの治療」の経験をした者なら、こんな安易な文章は、絶対に書かない!!
「薬を飲んでの治療」は、一週間ほど、その副作用で、苦しむ!!
まず、この点を、文章冒頭に、真っ先に書くべきである。
検査が簡単なこと、
ピロリ菌が引き起こす病気、
など、NHK・民放番組で、皆、知ってる。その部分はサラッとでいい。
「薬を飲んでの治療」は一週間ほど、その副作用で、どう苦しむか!!
この点について、何人かの経験者の体験談を示すべきだ。
皆が知りたいのは、この点だ!!!!!