先日、父が手術をしました。
それで、肺のちょうどしたあたりを切開して手術をしたわけですが、術後、手術痕から下がビリビリ!ジンジン!チクチク!と痺れるようになったそうです。
で、余りにも辛いので、手術をした大学病院で相談したところ、神経性疼痛の薬をもらってきました。
それで薬を飲んだら、それなりに効果があったそうです。
それを聞いて、僕もうらやましく感じました。
というのも、僕自身も頚髄損傷(首の神経の損傷)になったことによる障害で、体全体が痺れているからです。
というわけで、早速主治医に相談してみました。すると、神経性疼痛の薬(体の痺れ用の薬)をもらったので、その薬を使ってみた感想などを以下で書きたいと思います。
目次
神経障害性疼痛とは
神経障害性疼痛とは、電気が走るような痛みが特徴の神経の痛みです。何らかの原因により、神経が障害され、それによって起こる痛みの総称です。
武田鉄矢さんがやっていた以下のCMを見たことがある人も多いかと思います。
神経障害性疼痛の症状
疼痛の症状といっても、実際に体験できるのは自分のものだけです。なので僕の症状の例になりますが、疼痛症状について書きたいと思います。
僕の場合は、事故により頚椎の中を通る神経の束を損傷してしまったために、首から下全体が痺れています。ただ、体全体が痺れているといっても、特に手が突出して痺れています。
この痺れたるや、「常に手の指をトンカチで潰している状態」とでも言いましょうか。もしくは「指にまち針が常時数十本刺さっている状態」とでも言いますか、とにかく24時間、ノンストップでビリビリ、ジンジン痛いです。
痛みの割合
痛みの割合は、言葉では説明しづらいので、以下の、「ペンフィールドのホムンクルス像」で説明したいと思います。
これは、カナダの脳科学者米フィールドの研究を基にした、「体の各部位の機能を受け持つ範囲が、大脳でどのくらいの割合を占めているか」を示した像です。 いわば、「どれだけ人間の神経がその部位に通っているか」を示したものといえます。
で、実際に僕の疼痛の痺れ具合も、この「ペンフィールドのホムンクルス」に比例した痛さになっています。
最高の鎮痛剤モルヒネでもそこまで効果無し
僕が、頚髄損傷になった当初は、あまりの痛さで夜眠れず、医師にモルヒネを処方してもらって、筋肉注射してもらっていたほどです。
モルヒネを打つと、フワッっとした気持ちになって、いつの間にかまどろんで眠ってしまいます。
しかし、何度もモルヒネ注射を打っていると、結局耐性ができてしまい、薬も効かなくなってきます。結局僕の場合は、暫くの間ふわっとまどろむだけで、手足の痺れを直接緩和するものではありませんでした。
結局最終的には、「モルヒネをそんな頻繁に注射するのは良くないので痛みに慣れるしかない」と医師に言われ、その後我慢し約20年、今日に至ります。
結論から言うと、疼痛はある程度までは慣れることができるかと思います。けれど、いくら慣れでごまかすことはできても、めちゃくちゃ痛いものは痛いです。
なので、父が神経障害性疼痛の薬をもらってきて、飲み始め多少の効果はあったというのを聞いて、僕も「この痺れの痛さが緩和できる可能性があれば試してみたい」ということで、主治医に相談した次第です。
主治医に相談して出してもらった薬
で、いつも訪問診療に来てくださる主治医に「神経性疼痛の薬を僕も飲みたい」と相談してみました。すると、リリカという薬を出していただきました。
これは、父が飲んでいる薬と全く同じものでした。先生に「他にも良い薬はあるのか?」と聞いてみましたが、「まあ今のところ、これぐらいだねー。」とおっしゃっていました。
1回に飲むカプセルはこんな感じです。
服用薬品名カードには、以下のように書かれていました。
リリカは、ファイザー株式会社が製造している薬です。
リリカの作用と効果については以下のように書かれています。
中枢神経系においてカルシウム流入を抑制し、グルタミン酸などの興奮性神経伝達物質の遊離を抑制することにより、過剰に興奮した神経を鎮め、痛みを和らげます。
通常、神経障害性疼痛や線維筋痛症に伴う疼痛の治療に用いられます。
引用 リリカカプセル75mg|効果・副作用 – QLifeお薬検索
要は、神経の伝達を抑制して過度に興奮した神経を鎮めることにより痛みを和らげる薬ということでしょうか。
ちなみに、主な副作用としては、めまい、眠気、意識消失などがあるようです。
意識消失と聞くと、「何だか怖い!」と思ってしまいますが、僕は今のところ、めまいも、眠気も、もちろん意識消失なども起こっていません。
毎日服用して数ヶ月になりますが、特に今のところは副作用を感じたことはありません。
神経障害性疼痛薬リリカを飲んでみた結果
で、リリカを飲んでみた結果なんですけど、効果があるかないかで言えば、あります。
ただ、「疼痛を完全に消し去ることができる魔法の薬」とまではいきません。
けれど、痛みをある程度緩和する効果はあると思います。
それで、痛みをどのくらい緩和できるのかというと、「薬を飲み始めたばかりの頃」で言えば、20~30%ぐらい痛みが緩和できていたと思います。
「なんだ、せいぜい30%程度か」と思われるかもしれません。
けれど、以下のような割合で、体全体(頭除く)がビリビリ痺れていた者にとっては、30%も痛みが和らぐと「神の薬か!」と思えるほど、楽になります。
僕の場合は、睡眠にとても良い影響が出ました。夜が最も痛みが強いので。
ただ、モルヒネもそうだったように、薬というのは長く続けると効かなくなってきます。なので、「薬を飲み始めてしばらく経った頃」で言えば、15~25%痛みの緩和効果がある程度でしょうか。慣れてくると、もっと少なくなるかもしれません。
僕も、長くリリカを飲んでみると体が慣れてしまって「薬が効いているのか効いていないのかはっきりしない状態」になりました。
けれど、「効いていないのなら」とリリカの服用を止めてみると痺れが強くなったので、「ああ、薬が効いていたのだな」と気づく感じです。
結論から言うと、リリカは疼痛の痛みを和らげる効果はあると思います。ただ、長く服用するようになると、「効果を実感できるほどのものではないけど効いている模様」といった感じになると思います。
父にも、「リリカを飲むようになってからどう?」と聞いてみたら「効いたような、効かないような…。でも飲まないと痛い。夜眠れない。」と言っていました。ほぼ、僕と同じ感想でした。
まとめ
結局のところ、僕は神経障害性疼痛の薬を、飲んでよかったと思っています。
体が薬に慣れると、効果を感じにくくはなるものの、「リリカ使用前」と「リリカ使用後」の数ヶ月を比較すると、後者の方が「夜痛みで眠れない回数」は、大幅に減ったかと思います。
僕としては、夜ある程度安定して眠れるようになっただけで、十分すぎる効果だと感じています。