僕は先日、個人事業主から法人成りをして「合同会社」を設立しました。
僕の場合は、会社設立手続きをすべて司法書士の方に丸投げしました。
その際にかかった費用が11万3150円(消費税別・会社謄本×3、印鑑証明書×3料金含む)。
このうち、司法書士にお支払いした手数料が5万円(税別)です。
今回は、この「5万円の司法書士手数料を削減して、設立手続き料のみの6万円で合同会社を作る方法」の紹介です。
会社設立後、各種手続きで必要となるであろう書類(会社謄本[600円]×3・印鑑証明書[450円]×3)を含めると、6万3,150円で合同会社設立手続きを行う方法です。
この内容は、以下のような方向きです。
- 合同会社設立手続きをすべて自分で行いたい方
- 少しでも合同会社設立にかかる費用を減らしたい方
- 自分で動くのが好きな方(法務局への登記は自前で行う)
- 分かりやすく会社を設立したいという方
今回は、会社設立freeeを利用すれば、合同会社設立に必要な書類を、十数分もあれば作成することが可能です。しかも書類作成手数料は無料。
目次
会社設立手続きの前に準備しておくもの
合同会社を設立する前に、事前に準備しておくものはこちら。
- 手続き費用6万円(合同会社登録免許税)
- 会社印鑑(実印)
- 個人印鑑(実印)
- 個人の印鑑証明書(発行して3ヶ月以内のもの)
- 資本金(僕の場合は200万円。1円とかはやめておいた方が良い)
- 実店舗のある個人の銀行口座(なるべくネット銀行以外)
以下でそれぞれについて、詳しく説明します。
手続き費用
合同会社設立の手続き費用だけなら、6万円(登録免許税)でできます。
それとは別に、その後の税務署・年金事務所・労働基準監督署等への申請には、以下も必要となるので、その分の費用も準備しておいた方が良いでしょう。
- 会社謄本(一部600円)×3=1,800円
- 会社印鑑証明書(一部450円)×3=1,350円
なので、実際使うかは別として7万円ぐらいは用意しておいた方が良いかと思います。
会社実印
僕の場合、会社実印はネットの格安通販ショップ「はんこプレミアム」で購入しました。
この「はんこショップ」は、平日であれば即日発送も可能なので、手続きに急いでいるときには重宝します。
会社設立freeeを利用する場合は、「柘(15,900円)」と「黒水牛(18,900円)」の「法人印鑑3点セット」を手続き内で購入することが可能です。
ただ基本的に、会社設立時には「会社実印」のみあればOKです。
必要最低限のものでよければ「はんこプレミアム」から3,580円程度で作成可能です。
ちなみに「法人印鑑三点セット」をあらかじめ買っておこうという場合でも、「はんこプレミアム」であれば、「柘(8,480円~)」、「黒水牛(13,880円~)」で購入することができ、お得です。
「多少でも安く済ませたい」という場合ははんこプレミアムで頼めばいいでしょう。
個人の印鑑
会社設立手続きには、代表者の個人印鑑も必要です。
僕は、個人事業を開業した時に、はんこプレミアムで既に作成していました。
なので、その時作成した個人用印鑑をそのまま利用しました。
「はんこプレミアム」は、個人用の実印であれば、個人実印も1,780円から購入できます。
個人用の印鑑を持っていない場合は、注文しておく必要はあるでしょう。
個人の印鑑証明書
また、法務局で登記する際は、個人の印鑑証明書(正確には、印鑑登録証明書)が必要です。
印鑑証明書は、市町村の役所窓口で発行してもらうことができます。
費用は500円です。有効期限は3ヶ月。期限の切れたものでは「会社設立手続き」は出来ないのでご注意ください。
資本金
資本金となるお金も用意する必要があります。
僕の場合は、200万円にしました(ネット銀行の振込上限が200万円だったため)。
会社設立は1円からでも行えますが、「資本金1円」の企業は
ペーパーカンパニーかな?
と疑われるくらい信用力がないので、あまりにも少ない資本金はおすすめしません。
ただし多いから良いというわけでもなく、個人が「法人成り」をするのであれば、資本金1,000万円以上にするのもおすすめしません。
というのも、資本金が1,000万円以上ある会社は、即時消費税を払う必要があるからです。
基本的に、新しい会社は設立年と翌年は消費税を免税することができます。
国税庁のページにも以下のように書かれています。
消費税においては、中小事業者の納税事務負担などに配慮して、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者については、納税義務を免除する事業者免税点制度が設けられています。したがって、新たに設立された法人については基準期間が存在しないため、設立1期目及び2期目は原則として免税事業者となります。
しかし、資本金が1,000万円以上あると免税業者の対象外になります。
しかし、その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人や特定新規設立法人については、その基準期間がない事業年度における課税資産の譲渡等について納税義務を免除しないこととする特例が設けられています。
せっかく2年も消費税を免除する制度があるのだから、使わせてもらいましょう。
個人から「法人成り」をする際の資本金は100万円~500万程度あれば十分かと思います。
個人の銀行口座(なるべく実店舗のあるもの)
銀行口座は、「資本金がちゃんとあるよ」ということ証明するために使用します。
証明方法としては、銀行口座に資本金を出資者(今回僕の場合は本人)から振り込みます。
僕の場合は、地元の地方銀行口座に対して、ネット銀行から200万円を振り込みました。
その後、振り込まれた銀行通帳をATM等で記帳して、資本金が振り込まれたことを手帳に出力させておきます。
あとは、通帳をコピーして、登記申請の際に「資本金が出資者から振り込まれた証拠」として提出します
資本金は、単に入金(振り込み)するだけです。どこかに提出する必要はないので、所持金が変わることはありません。
freeeで合同会社設立書類を作成する
上記の準備ができれば、にて会社設立用の書類を作成します。
会社設立freeeから登録作業を行ってください。
すると、「会社設立予定時期」や「取締役(予定)本人か?」や「税理士をどうするか」ということを聞かれるので、入力します。
会社設立freeeで行うこと
会社設立freeeで行うことは以下の3ステップ。
- 入力:会社情報の入力
- 設立:案内に従って登記を行う
- 始動:設立後の手続きや法人口座の開設
会社設立freeeの良いところは、基本的に「会社設立素人」向けのサービスなので、解説が非常に丁寧というところです。
司法書士にお願いする場合は、事務所に赴かないと、メールなどで以下のような「会社設立シート」が送られてくるだけだったりします。
こうなると、自前で調べて記入する必要があります。
これを素人が記入するには、正直ハードルが高かったです。
まず、合同会社を作るのに、株式会社の「会社設立シート」が送られてきたので混乱しましたし。
その他にも「資本金はどうすれば?」とか「公告ってなんだ?」とか分からないことを全部調べる必要があります(※司法書士事務所に赴いて記入すれば、質問しながらできると思います。あとメール対応も万全な司法書士の方であれば揉んだりません)。
その点、会社設立freeeでは、それぞれの入力項目に事細かに説明があります。
ほんと、素人でも分かるように詳しく書かれているのが特徴です。
以下で、それぞれの入力毎に見ていきます。
会社情報の入力
まずは、会社情報入力です。
すると、以下のような入力欄一覧が表示されます。
合同会社形式で入力する
まず、合同会社としての書類を作るには、「会社の名称/商号を決めましょう」と書かれた部分を選択します。
すると入力欄が展開されるので、「合同会社の方はこちら」ボタンをクリックします。
会社名の入力
すると以下のように書式が合同会社用に変わるので、会社名称を入力してください。
会社住所の入力
次に会社住所を入力します。間違えやすい注意点は指摘してくれるのでありがたいです。
代表社員情報の入力
次に合同会社のトップとなる「代表社員情報」の入力を行います。
この入力最後の部分で出資金を入力します。
出資金は事前に準備した金額を入力してください。
事業目的の入力
事業の目的を入力します。この情報から会社定款が作成されます。
ドロップダウンから事業内容を選択し追加していくだけで以下のように簡単に入力可能です。
ウェブサイト制作や、アフィリエイト事業であれば「情報通信業」を選択して「インターネット等の通信ネットワーク及び電子技術を利用した各種情報提供サービス、情報収集サービス、広告・宣伝に関する業務及び代理業務」を選択する感じです。
資本金
資本金は、先程「代表社員情報」の資本金の欄に入力した金額が表示されます。
決算月の入力
会社の決算月を入力します。
基本的に税理士の方は確定申告時期に近い1月~4月、11月~12月が忙しくなるようです。
なので、6月~10月のあたりで決めると喜ばれるかもしれません。
ただ、そこらへんは税金面や経営面の判断もあると思うので、税理士と相談の上、決算月を決めてください。
公告方法の選択
合同会社の場合は広告は「官報」でOKです。
合同会社の場合は決算公告の義務はありません。なので、ほぼ公告費用はかかりません(代表が変わったり、会社をたたんだとき以外)。
freeeにも以下のように案内が出ています。
株式会社は、毎年の決算や資本金の減少などを公開する(公告)義務があります。 合同会社には決算の公告義務がありません。 ※合同会社は官報を選び、必要なときのみ公告をするのが一般的です。
連絡先
役所等に届け出る電話番号を入力します。
準備する書類
冒頭にも書きましたが、会社設立には「個人の印鑑証明」が必要なので準備しましょう。
準備ができていれば「準備完了」ボタンを押してください。
準備状態が反映されると以下のように表示されます。
印鑑の準備
次に、登記に必要な「会社印鑑」を準備します。
会社設立freeeには、印鑑3点セットが表示されていますが、登記に必要な印鑑は「会社実印」のみです。
手軽に素早く準備するのであれば「はんこプレミアム」で実印のみを作ると良いでしょう。
僕も「はんこプレミアム」で会社実印を用意しました。
ただ、いずれにせよ会社運営していくうちに、「会社実印」「会社銀行印」「会社角印(社印)」は、あった方が便宜上良いので、「法人印鑑三点セット」で注文しておいた方が後々楽かもしれません。
全て入力後
すべての入力を終えたら、全項目に対して以下のように「青色のチェックマーク」が表示されます。
内容に問題なければ、「登記手続きに進む」ボタンを押してください。
会社の登記
次は、ガイドに従って登記手続きを行います。
登記を済ませれば会社設立が完了します。
定款の認証方法の選択
認証方法は断然「電子定款」がおすすめです。安いので。
通常印紙代4万円がかかるところを、印紙代0円で認証できます。
専門家に定款認証を代行してもらう場合は5,000円かかります。
ただ、同社サービスの会計ソフトfreeeを利用する場合は代行手数料も無料になります。
会社定款の内容確認
次に、定款内容を確認します。
会社設立freeeの凄いところは、先程入力した「事業内容」から会社定款を自動で作ってくれるところです。
これを司法書士に依頼した場合は、1万5,000円かかっていた部分です。
専門家に電子認証の依頼
次に、印鑑証明書の画像をアップロードして、専門家に電子認証を依頼します。
専門家による電子認証が完了するまでは、これ以降の手続きはできません。しばらく待つ必要があります。
基本的に3営業日以内に「電子認証完了」メールが届くので、以降の手続きを進めます。
出資金を個人口座に入金
個人口座に、資本金の金額を、別口座等から振り込みをします(※一般的にはネット口座はあまり好ましくないようです。司法書士談)。
これは「出資者(本人含む)が出資した」ということをと証明するための入金です。誰かに出資金を提出するというわけではないので、手持ちの資金は変わりません。
僕は、地元の地方銀行口座に、自分が所有するネット銀行から200万円を振り込みました。
「預け入れ」では、資本金の振り込みとして認められないので注意が必要です。
入金を証明するコピーの作成
次に、入金を証明するための銀行通帳のコピーを作成します。
必要なものは通帳の表紙。
通帳の裏表紙。
通帳の振込ページです。
僕の通帳の振込ページはこんな感じ。
資本金の振り込みが確認できるページをコピーします。
登記書類の印刷
「書類をダウンロード」からPDFをダウンロードし、登記書類を印刷します。
必要な登記書類はこちら。
- 登記申請書
- 登録免許税納付用台紙
- 就任承諾書
- 代表社員、本店所在地及び資本金決定書
- 払込を証する書面
- OCR用紙
- 印鑑(改印)届書
「まとめ方」と書かれたリンクをクリックすると、「設立登記書類の綴じ方ガイド」が表示されるのでガイドを元に書類をまとめてください。
PDF 設立登記書類の綴じ方ガイド
法務局に必要書類を提出
提出先の案内が出るので、法務局に書類を提出しに行きます。
持っていくものリストはこちら。
- 定款
- 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- 通帳への入金証明のコピー
- 登記書類 (まとめ方)
- 現金:登録免許税(株式会社:15万円、合同会社:6万円)
- 会社印と発起人の実印(修正や押印漏れがある場合に必要)
その後の手続きに必要な書類の入手
登記が完了すると以下の書類をダウンロードできるようになります。
- 登記事項証明書交付申請書
- 印鑑カード交付申請書
- 印鑑証明書交付申請書
これら書類を法務局に提出します。
これら書類を提出すると「登記簿謄本」と「(会社の)印鑑証明書」を取得することができます。
「登記簿謄本」と「(会社の)印鑑証明書」は、それぞれ「税務署」「年金事務所」「労働基準監督署」に届ける必要があります。
僕の場合は、それぞれの発行手数料は、以下の値段でした。
- 登記簿謄本(600円)×3部=1,800円
- 印鑑証明書(450円)×3部=1,350円
僕の場合、「税務署」「年金事務所」「労働基準監督署」への届け出はビスカスで紹介してもらった税理士さんにお願いしました。
「会社設立手続き」は司法書士の範疇ですが、「税務署」「年金事務所」「労働基準監督署」への届け出は、税理士・社労士の仕事の範疇です。
登記と同様に面倒な書類提出が必要なので、税理士さんが決まっている場合はお願いすることを検討してみてください。
税理士紹介サイトの有名どころでは以下のようなものがあります。
サイト ビスカス
サイト 税理士ドットコム
サイト タックスコム
僕は紹介サイトから税理士を紹介してもらい、何軒か面談しました。その結果、ビスカスで紹介していただいた税理士さんにお願いしました。
法人口座の開設
個人の口座と、会社の口座を明確に分けるため法人口座は作っておいた方が良いでしょう。
会社設立freeeの場合は、ジャパンネット銀行と連携しているので、入力段階で申請すれば口座を開設できます。
ジャパンネット銀行は、ネット銀行なの、維持費や手数料が安いです。
その他のネット銀行の法人口座は、以下のようなものがおすすめです。
法人の会計ソフト
法人となれば、経理もしっかりとやる必要があります(当然個人もだけど)。
会社設立freeeは、クラウド会計ソフトでも有名な会計ソフトfreee
を運営しています。
会計ソフトfreeeに登録するのであれば、定款認証代行手数料(5,000円)も無料になるようになっています。
今回会社設立にかかった費用も、当然会社経費となります。会計ソフトfreeeを利用すると、経理作業を軽減できます。
サイト 会計ソフトfreee
メリット・デメリット
会社設立freeeを利用すれば、合同会社設立を自前で行うことができ、司法書士に依頼するより出費を減らすことができます。
「会社設立freeeで設立」と「司法書士に依頼して設立」の場合は以下のようなメリット・デメリットがあります。
会社設立freeeで設立するメリット
会社設立freeeを用いたよ移転はこちら。
- 合同会社設立経費を6万円程度と安くできる(登記簿謄本・印鑑証明代は除外)
- 司法書士手数料を5万円前後安くできる(司法書士さん手数料金額にもよる)
- 合同会社設立手続きを身をもって体験できる
- 下手に司法書士に依頼するよりは説明が分かりやすい
会社設立freeeで設立するデメリット
反面、難点はこちら。
- 自分で法務局に出向いて手続きする必要がある
- 書類作成等の手間がかかる
書類作成等は自宅で出来るけど、法務局に出向くのは少し大変だと思います。
司法書士に依頼して設立するメリット
司法書士に依頼するメリットとしては、これに尽きるでしょう。
- 会社設立手続き全てを丸投げできる
書類作成や法務局への提出は全て代行してくれます。
司法書士に依頼して設立するデメリット
司法書士に依頼する場合は、手数料高いとみるかどうかだと思います。
- 合同会社設立の費用は11万円(内、手数料5万円)ぐらいかかる(登記簿謄本・印鑑証明代は除外)
- 事務所に赴いて依頼しない場合は「会社設立情報」を提出する際に説明を受けられないので分からない分は調べないといけない
(※メール等でも丁寧に対応してくれる司法書士がいるのであれば大丈夫)
まとめ
これら、それぞれのメリット・デメリットを鑑みて自分に合った方を選べばよいかと思います。
多少手間がかかっても設立経費を削減したい!
ということであれば、会社設立freeeは大きな助けになってくれるでしょう。
サイト 会社設立freee